■ダイナミックな松明で有名な二月堂の「お水取り」

3月1日~14日、東大寺の二月堂では修二会(しゅにえ)、いわゆる「お水取り」が行なわれます。みなさんも、大きな松明が二月堂の舞台を走るのをテレビなどで見かけたことがあるのでは?
これは、練行衆という選ばれた僧侶が自らを懺悔し、二月堂のご本尊である十一面観音に天下泰平や五穀豊穣を祈る行事です。関西では「お松明(たいまつ)」と呼ばれて親しまれています。

 

■1200年以上も絶えることなく続いている行事

お水取りは14日間行われますが、様々な行法があり、とても一口では説明しきれません。けれど1回も欠かされることなく752年から続いている歴史ある修行です。その起源は、開山の良弁僧正の弟子の実忠(じっちゅう)和上が笠置山の山奥で天界の様子を見て、それを下界でも行いたいと思ったことから始められたと伝わっています。

そんな「お水取り」は3月12日に行われる修二会のクライマックスを飾る行事。閼伽井屋(あいかいや)という井戸から二月堂の間を三往復して、お香水が内陣に納められます。

 

■「お水取り」のお水を送る「お水送り」行事がある!

「お水取り」のお水は、実は、毎年3月2日に若狭の神宮寺というお寺にある閼伽井戸(あかいど)という水源から送られます。井戸から汲んだ水を持ったご住職と、その周りに法螺貝を吹く山伏や松明を掲げる人たちが付き添って、1.5km先の「鵜の瀬」まで行列をしていくのです。そして鵜の瀬という川に水が入れられて、人知れない地下の道を通り、東大寺二月堂の閼伽井屋に届くというものです。そのお水送りの水源が、タイトルにある写真の井戸。透明で清らかなお水ですよね。

 

■魚釣りに夢中になった神様の遅刻のお詫びが「お水送り」

では、なぜこの若狭から奈良の東大寺にお水が送られるのでしょうか? 実はこんなエピソードがあるのです。

実忠和上が修二会を始められた際の初日、全国の神々を招待したのですが、1人若狭の遠敷明神(おにゅうみょうじん)が見えず、12日の夜中の1時過ぎにようやく参列しました。川釣りに夢中になって時を忘れたために遅刻した遠敷明神は、そのお詫びのために、若狭より二月堂の本尊へお香水の閼伽水を送る約束をされたそうです。

神様も、時間を忘れて約束をやぶってしまうことがあるのですね!

 

荘厳な「お水取り」の陰にこんなユーモラスな逸話もあることを知っておくと、訪問する楽しみも増すのではないでしょうか。ご都合が合う方は是非、東大寺二月堂「お水取り」に行かれてみては?

 

【参考】

東大寺公式ホームページ「修二会」