前編では、赤ちゃんのへその緒の血液「臍帯血(さいたいけつ)」を、将来の保険として赤ちゃんに、もしくは今困っている患者さんにプレゼントしませんか? というお話をしてきました。「よし! 臍帯血保管するぞ」と心が決まった方、後編では具体的にどこにお願いするか、臍帯血を保管する「臍帯血バンク」についてご紹介します。

 

■臍帯血を保管する「臍帯血バンク」

一般的に臍帯血を保管する機関として、公的なバンクと民間のバンクがあります。
前者は第三者に臍帯血を寄付するもので、後者は赤ちゃん本人やその家族のために保管するものです。

公的バンクは、治療を希望する方へ臍帯血を提供するものです。日本に約2万5千人が白血病を患っているといいます。自分の赤ちゃんの臍帯血が有効に活用されることが期待でき、困っている方を救うことができるチャンスでもあります。
善意による寄付という形になるため、保存などの費用は一切不要ですが、仮に本人や家族が病気や事故にあって、その臍帯血が必要となった場合でも、個人情報保護が徹底されているため、提供した臍帯血を特定することはできません。また本人以外の臍帯血の場合、現時点ではその治療範囲が血液などの病気に留まっており、損傷した体の一部を再生するような治療(再生医療)については対応が難しいといわれています。

一方で、民間バンクは将来に備えて赤ちゃん本人や家族のためだけに臍帯血を保管するものです。
実際のところ、本人や家族が自身の臍帯血を利用する可能性は交通事故と同じぐらいの確率といえます。 白血病の死亡者数は、10万人に対して5.6人(※)。さらに重い血液疾患の死亡者数は、そのおよそ4倍程度です。ただ将来的には本人の臍帯血による治療可能領域は飛躍的に広がり、米国の最大私的臍帯血バンクCBR社の試算によると、再生医療で将来50人に1人が利用するともいわれています。民間バンクで掛かるおおよその費用は、初回費用が15万円~20万円、保管費用が年間7千円~1万円です。この費用を高いとみるか安いとみるかは、それぞれのご判断に委ねたいと思います。

 

■臍帯血バンクの選択は慎重に。

バンク選びにはいくつか注意することがあります。まず、一度バンクに預けたら、その後バンク間移動ができないということ。バンクによって少しずつ保管方法が異なるので、民間から公的バンクへ、民間バンクから民間バンクへという行き来ができないことです。
私の場合、第一子の臍帯血が出産国のシンガポールのバンクにあり、そこから移動することができないので、更新ごとに海外送金をし続けねばなりません。

また、2009年の民間バンク「つくばブレーンズ」倒産が、当時ショッキングなニュースとして伝えられました。同社が保管していた約千五百人分の臍帯血が宙に浮き、中にはID番号が記載されておらず、所有者が特定できない臍帯血もあったといいます。民間バンクにはこうしたリスクが伴うということも知っておいた方がよいでしょう。

更に、民間バンクについては、法的な規制が未整備で、検査や保管体制もそれぞれの企業基準に任されています。資料請求や施設の見学で自分の目や耳で確認することはもちろんのこと、産院によって提携しているバンクでなければ採取できない院やそもそも臍帯血採取に対応していないということもあります。ですから、もっといえば産院を選ぶときには、先に臍帯血をどこで保管したいかということを決めておく必要があるのです。

いろいろな治療に期待ができる臍帯血。何か起こってしまった時、後悔しないためにもひとつの選択肢としてバースプランにいれてみてはどうでしょうか?

 

【関連記事】

※「臍帯血という選択【前編】「赤ちゃんへのプレゼント」

【参考】

2004年「国民衛生の動向」

厚生統計協会(2004)『図説国民衛生の動向』

 

【この筆者の他の記事】

※「もう実家に頼れない!? 産院退院後の新事情【前編】