晩婚化を背景に、女性の“晩産化”が進む日本。妊娠・出産の年齢が引き上がるにつれ、不妊治療を受ける人も年々増えています。

不妊治療の公費助成制度のあり方を議論する厚生労働省の有識者検討会は、7月29日、不妊治療の助成に年齢制限を設け、対象を43歳未満(42歳以下)とすると発表しました。

今年4月から月に1度ペースで行われてきた検討会。助成についてだけでなく、早期からの妊娠出産教育の課題や、不妊治療患者への精神的サポート(不妊カウンセリング)の課題などについても定期的に討論されてきました。医師、NPOの代表、厚労省職員などによる活発な情報交換が行われており、毎回傍聴してきた私にとっても大変勉強になりました!

不妊治療の中でも、保険が適用されない体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)。体外受精では1回あたり約25~50万円と高額の医療費がかかることから、患者にとって経済的な負担はもちろん、精神的な負担も大きくなります。

患者の増加に伴い、助成金を希望する人が増え続けるなかで検討された、今回の年齢制限。なぜ、年齢制限が必要と判断されたのでしょうか?

 

■  そもそも、これまでの不妊治療助成制度って?

  • 患者の経済的負担の軽減と少子化対策の一環として2004年にスタート
  • 保険のきかない体外受精、顕微授精が対象
  •  1回あたり最大15万円、通算5年で最大10回まで支給
  • 年齢制限なし
  • 世帯所得730万円までの夫婦が対象

 

■  今後はどう変わるの?

  • 43歳未満(42歳以下)が助成の対象に
  • 通算5年間の支給期間を廃止するかわり、受給は6回までに減る
  • ただし、40歳以降ではじめた場合、支給は3回まで

※助成金の金額や所得の上限は現行のままですが、見直す可能性もあるとのこと

 

■ なぜ、年齢制限が設けられるの?

  •  加齢とともに体外受精での出産成功率が減るため(32歳までは約20%、40歳で7.7%、45歳では0.6%に落ち込む)
  • 高齢妊娠は流産や合併症のリスクが増えるため(43歳以上では50%が流産)
  • 公費負担の抑制(2004年度は約25億円、2012年度には約200億円)

 

これらの変更は今すぐ行われるものではなく、今後何年間かは移行措置が取られるという方向で話し合われています。とはいえ、現在治療中のカップルにとって費用の負担が大きくなります。また、これから治療をと考えるカップルにとっても、年齢制限という“しばり”によって、早い段階からの通院を意識する必要もありそうです。

移行措置については次回の検討会で話し合われるそうなので引き続き注目していきたいと思います!

[執筆:渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]