不妊治療助成において、有識者検討会はこの度初めて「年齢制限」を行うと発表しました。これに対し、インターネット上では「これじゃ、まるで40代は産むなと言っているようなものでは?」、「体外受精は3回目までに成功する人が多いので6回までの助成で十分ではないか?」など賛否両論が巻き起こっています。

現在、40代で給付を受けている人は3割以上おり、少ないながら出産に至るケースもあります。こうした“成功事例”があるからこそ、あやかりたいと藁にもすがる想いで頑張っている方はたくさんいらっしゃいます。

 

7月29日の討論会では、「妊娠出産の適齢期は25歳から35歳。今回の制度変更が社会全体の意識が変わるきっかけになれば…」との意見が出ていました。また、討論会の座長を務める慶応義塾大学病院の吉村泰典医師も、「若い人が早めに妊娠をしていただくために、こういった制度を使っていただきたい」と話していました。助成の年齢制限は、決して“43歳以上の人は妊娠できない”とか、“産むな”ということではありません。「加齢とともに妊娠の可能性は低くなるが、治療を継続するのであれば、これまで同様の医療を提供していきますよ」というスタンスです。

 

不妊治療助成については、この先何年間かは“移行措置”が取られるという方向で現在動いているようです。この移行措置の期間、当事者の皆さんはもちろん、これから治療を始める皆さんにとって、治療方針や生き方についてじっくり向き合える、有意義な時になるよう、願ってやみません。

 

■ 早めの妊活スタートと、妊娠を基準としたライフプランを

厚労省や吉村座長がお話するように、この方針が、若いうちから妊娠出産を考えるきっかけになればいいと思います。未婚であれば結婚やワークライフバランスなどを考える上で、ぜひ“妊娠のタイミング”についても考えてみてほしいのです。(もちろんプラン通りに物事が進むことは少ないですが、“自分らしい在り方”をイメージすることが大事だと思います)この制度によって、妊活が後押しされるのもいいことだと思います。

 

■ 不妊治療以外の選択肢を考えるきっかけに

長年不妊治療を続けてきたカップルにとって壁となる「“やめ時”をどうするか」。私の場合も、不妊治療(検査)を始める時は割合軽い気持ちだったのに、なかなか結果が出ずに治療を続けていると、だんだんと言い知れぬ焦りと不安が出てきました。無意識のうちに、「治療をやめる=出産を諦めること」と思い込んでいたからかもしれません(実際はそんなことはないのですが…)。お金や時間を使ってズルズルと治療を続けていくよりも、ある程度の期限や目安を決めて治療に向かうほうがいいのかもしれません。そういう意味では、治療継続以外の選択肢…たとえば夫婦2人で生きていくことや、養子縁組などに興味関心が沸いてくるのもいいことだと思います。

 

最後に。公金を使う以上、ある程度の制限は仕方ないと思いますし、高齢出産のリスクなどを考えると年齢制限もやむを得ないと思います。ただ、受給回数が10回から6回に制限されて患者の負担が大きくなることには大きな不安を感じます。今後検討される移行期間。なるべく長くとっていただき、精神的にも経済的にも“準備”ができるようにしてほしいものです。

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]