■ 死ぬまでにやりたいこと

最近、ずっと気になっていた2008年公開の映画『最高の人生の見つけ方』(※)を観ました。余命6ヶ月を宣告された二人の男が、死ぬ前にやり残したことを実現するために二人で冒険に出るストーリーを、ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンが味のある演技でつづります。ある日突然、あなたの人生はあと半年です、と告げられたら何をするでしょうか? 主人公の2人は60代という設定。今まで何に一番時間を使ってきたのか、お互いの人生や価値観を比べ、今までに気付かなかった、気付かないふりをしてきたことに目を向けて、残りの時間を生きるのです。

 

■ ライフキャリアレインボー

映画の中で、真面目な自動車修理工で3人の子どもの父でもあるカーター(モーガン・フリーマン)は「45年間、良き夫、父親として生きた。今度は自分のために時間を使いたい」とエドワード(ジャック・ニコルソン)と一緒に旅に出ます。今まで家庭を顧みず、好きな仕事で大いに活躍して財をなしたエドワードは、金に糸目をつけない旅を演出して二人で楽しみますが、カーターの生き様に耳を傾けるうちに自分が人生で置き去りにしてきた「父親」という役割を思い出していきます。

実は、キャリアを人生全体から考える方法として、このような人の役割に着目した理論があります。キャリア心理学者のドナルド・E・スーパーの「ライフキャリアレインボー」理論によれば、人間には8つの役割があるとされ、その8つとは、1:息子・娘、2:学生、3:職業人、4:配偶者、5:ホームメーカー(家事、家屋の修理など、家事をする役割)、6:親、7:余暇を楽しむ人、8:市民となっています。

人はこの役割を人生の中で合わせ持ち、そのウエイトを年齢によって変化させていくという考え方ですが、途中でなくなる役割や経験しない役割もあります。この役割を虹のように重ね合わせた図にしてみると、自分は今どの役割に生きているのか見えてきます。それは、女性の場合は職業人としての自分をどう維持するか、結婚や出産で配偶者や親になるというライフイベントを入れるのか、それはいつどのようなウエイトにするか、キャリアデザインそのものが描かれることになるでしょう。

 

■ アラフォーは「人生の正午」

心理学者のユングは、この40歳を「人生の正午」と呼び、人生の大きな転換を迎えるタイミングとしています。アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャインも、40歳前後の時期を「キャリアの危機」と呼び、「気が滅入り、落胆した状態。あるいはガソリンが切れて、モチベーションを失った状態であり、彼らは彼らの仕事に興奮を得られず、もし経済的に実行可能なら劇的なキャリア転換さえ夢見る時期である」と述べています。

どうやら、過去の研究からもアラフォーは微妙なお年頃。女性の場合は特に結婚や出産の最終の砦との言えるこの年代に決断をせまられます! 本当に人生で優先させたいことは何か? 今の役割や他人からの期待だけに縛られて自分を見失っていないか? この映画を見ると、自分らしい人生とは何かを改めて考えさせられます。皆さんもこの秋、映画でも見ながら人生について考えてみませんか?

[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]

 

【参考】

『最高の人生の見つけ方』2008年アメリカ