日本生殖医学会は9月13日、現在不妊治療をしているカップルだけでなく、健康な未婚女性にも将来の妊娠に備えて卵子の凍結保存を認めるという、日本初のガイドライン案をまとめました。背景にあるのは、年齢とともに卵子の機能が低下する“卵子老化”です。

 

■ 卵活は、妊娠・出産の先送り手段なの?

これまで卵子凍結は不妊治療を行うカップルや、がん治療を行う女性が対象でした。一方で健康な未婚女性への対応には明確なルールがなく、希望する女性がいれば、担当医の判断で実施されてきました。

晩婚化や女性の社会での活躍が加速し、未婚女性からの卵子凍結のニーズが増え続ける一方で、「妊娠・出産が先送りされるだけでは?」という懸念の声も。学会は、卵活が無秩序に広がるのを防止するため、「40歳以上の採卵は推奨できない」「保存卵子を使った45歳以上の不妊治療は推奨できない」とし、「凍結保存による妊娠・出産の先送りは推奨しない」と明示しました。

 

■ 「卵活」に肯定的な未婚女性の声

妊娠・出産の先送りという意見がある一方で、「卵活」に前向きな女性はどのように感じているのでしょうか。今回、独身女性10名に話を伺いました(※1)。

・若いときの卵子を凍結することで将来の不妊治療のリスクを避けられるのなら有効だと思う
・単なる妊娠・出産の先送りではなく、ゆとりあるキャリア形成を助けるものだと捉えたい
・婚期や仕事によって、出産時期を柔軟に調整できるのはメリットだと思う
・選択肢が広がることで、焦りや不安が解消されるのはいいことだと思う

 

■ “母体年齢”を考えた将来設計を!

実は、凍結卵子での出産成功率は決して高くありません。日本産科婦人科学会によると、これまで凍結卵子で出産に成功したのはわずか10%程度。国立成育医療研究センター齋藤英和医長は、FNNの取材に対し、次のように述べています。

「凍結保存しておけば、卵子は確かに老化しないが、母体というのは着実に加齢する。やはり30代の後半からいろんな産科的なリスクとか、分娩のときのリスクとかが増してくるのは防げない。自然に妊娠するか、もっと若い時期に、本当に安全な時期に考えてほしい」

 

妊娠に限らず、人は老化を食い止めることはできません。結婚や仕事、いろんなことを天秤にかけながら「いつか」の妊娠をどう考えるのか。

“母体年齢”を意識しつつ、将来設計できるといいですね。

[執筆: 渡辺 さちこ (「妊きゃりプロジェクト」主宰)]

 

【参考】
※1. 2013年8月26日〜9月14日 筆者による対面アンケート
※ 一般社団法人日本生殖医学会
※ 『AERA』2013年8/5号, 朝日新聞出版
※ 河合蘭(2013)『卵子老化の真実』文藝春秋