安倍政権は「成長戦略」に女性の登用拡大も盛り込み、具体的には、「2020年までに指導的地位に占める女性の比率を30%まで増やす」方針を示しています。それにより、大手企業各社は「女性管理職者数を○年までに○%にする」という目標を掲げました。頑張りたい女性にとっては追い風ですが、企業にはそれなりの思惑があるようです。

 

■ 企業の株価にも影響

欧米の投資家は銘柄を選ぶ際、多様な人材を活用できているかどうかを考慮する傾向があるのだとか。人材が均質化した組織はもろい・危うい、という考え方が根底にあるようです。

多様な人材とは、性別だけではなく国籍や人種なども含まれますが、名前などでわかりやすい指標が、女性役員の数なのでしょう。とあるグローバル株価指数では、女性役員のいる企業の方が、いない企業に比べて株価が高いという話も(※1)。企業価値を高める政策の一環として、女性役員を増やしたい意向がうかがえます。

 

■ 女性管理職数で世界に後れを取る日本

しかし、日本企業では、女性役員どころか女性管理職の数が少ないのが現状。女性管理職の比率がおおむね30%以上の欧米諸国に比べて、日本は11.1%と低い(※2)ことは知られていますが、実はアジア諸国と比べても低いのです。たとえば、フィリピン 52.1%、シンガポール 34.0%、タイ 24.6%(※3)。

これでは、悪くすると、女性蔑視の文化?!  と疑われかねません。そういえば、筆者はかつて勤めていた米国企業の役員(米国人)から、なぜ日本ではダイバーシティ(多様性)が進まないのかと不思議がられたことがあります。

 

日本の少子高齢化は急速に進んでいます。市場を海外に求める必要のある企業にとっては、前述のように多様性、すなわち女性の活用が重要な戦略なのです。そんな企業の思惑に理解を示しつつも、数値目標達成のためだけに、女性社員を昇進させることがないようにと願います。頑張りたいあなたが正当に評価されますように!

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]

 

【参考】

※1.  『週刊東洋経済』2013年8月31日号「女性を活用できねばグローバル競争で脱落する」P.42-43
※2. 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局「全国厚生労働関係部局長会議」平成25年2月
※3. 『日本経済新聞』2013年9月21日「女性登用アジア走る」