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頑張る方法が違った? あなたの努力が続かない理由
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頑張る方法が違った? あなたの努力が続かない理由

早起き、ダイエット、資格の勉強、苦手な仕事…。「頑張る!」「努力する!」と心に決めてから数日後、継続できたものは今まで何件くらいあるでしょうか? 筆者自身も偉そうに言えた立場ではないのですが、「頑張る」「努力する」って何なのかなという疑問はいつもありました。どうして継続できないのか、あなたは考えたことがありますか?

 

■ 「努力」の正体は…

心理学をもとにした『自分セラピー』(※1)という本の中に、興味深いエピソードがあります。著者である柴崎嘉寿隆さんのセラピー講座を受ける方の中には、マジメ過ぎて自分を追い込みがちな方もいらっしゃいます。そこで、柴崎さんは

「努力」

という言葉が好きな受講者には、このような問いかけをするそうです。

「ペンを床に落として、努力して拾ってみてください」

受講者はだいたい一瞬ポカンとしてから、普通にペンを拾おうとします。そこで柴崎さんは重ねて言います。

「いえいえ、努力して拾うんですよ」

 

……さて、あなたは、努力してペンを拾えますか? 筆者にはできません。きっとあなたも「努力する」こととは関係なく、単純に「拾う」という行為しかできないはずです。

実は、早起きもダイエットも仕事も同じ。具体的にどうやったらいいかわからない「努力する」という宣言だから、やれないし、続かないのです。でも単純に「何かの動作をする」ことであれば、脳は理解でき、行動を起こせます。

 

■ 「頑張る」ではなく、身体を使って自己コントロール

そうはいっても、ダイエットや早起きや苦手な仕事。どうやったら、遂行できるでしょうか? このヒントは「自己コントロール」だと考えるとスッキリします。

トロント大学ロットマン・スクールのアパルナ・ラブルー教授の研究(※2)によれば、

「身体の使い方」

が自己コントロール、すなわち、怠けたい・楽をしたいなどの誘惑を制御する手段として役立つことが分かっています。この研究では、自己コントロールするときに筋肉が緊張することの逆、つまり意図的に筋肉を緊張させることで自己コントロールは可能かを実験しました。その結果、筋肉を緊張させること、例えば「拳を握る」ことによって、困難な状態により長く耐えられることが判明したのです。

 

早起きやダイエットや勉強に関わらず、楽をしたいという誘惑にかられることがあったら、「頑張る」と念じるのではなく、拳をグーにして身体を使って自己コントロールするほうが効果的なのですね。そして、「努力する」と曖昧なことを目指すのではなく、「○○をやる」とシンプルに行動すればいいのです。

あなたも今日からぜひ、「頑張る」「努力する」ではなく「やる」「自己コントロールする」という意識で、苦手なことに取り組んでみてはいかがでしょうか。

[執筆者:菅野彩子(ノーツマルシェ編集部)]

 

【参考】
※1.  柴崎嘉寿隆 (2002)『自分セラピー』ロングセラーズ
※2.  Aparna Labroo アパルナ・ラブルー(2013)「“甘い誘惑”に打ち克つために、あなたの筋肉は存在するのです」『クーリエ・ジャポン 2013年4月号』 pp32-33

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