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残業多すぎ! ブラックか否かより注意すべき制度とは
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残業多すぎ! ブラックか否かより注意すべき制度とは

過酷な労働で従業員を使い捨てると噂の「ブラック企業」。働きながら「もしかして…? でも自分ではわからない」と悩む方もいるのでは。関連するテーマを扱ったテレビドラマ、『ダンダリン』(※1)も記憶に新しいですね。あなたの会社は大丈夫ですか? なぜなら…。

 

■ たった1日で1042件の相談

今年9月、厚生労働省が『若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する無料電話相談』を設けたところ、わずか1日にも関わらず1042件の相談があった(※2)と発表されました。相談内容は、多い順に以下のとおり(複数回答可能)。

1. 賃金不払残業(53.4%)

2. 長時間・過重労働(39.7%)

3. パワーハラスメント(15.6%)

最も相談の多かった賃金不払残業は、不払いと長時間労働が重なり、悪質な印象を受けますね。電話相談だけでは違法かどうか判断でき兼ねますが、厚生労働省も見過ごせないと考えたのでしょうか。全国のハローワークなどに寄せられた深刻な労働相談も含め、9月に5111の企業・事業所に立ち入り調査をした結果概要が、日本経済新聞に掲載されました(※2)。

 

■ 1ヶ月80時間超の時間外労働に注意

記事によれば、調査対象の8割超の企業・事業所で労働基準関係法令の違反があったとのこと。圧倒的に多かったのは「違法な時間外労働」で、5111事業所のうち、43.8%を占めました。「賃金不払い残業」が次に続き、23.9%。なお、調査時に残業と休日出勤の時間が最も多い労働者を確認したところ、1230事業所で1ヶ月当たり80時間超だったとか。(筆者注:違法とは限りません)

前述の電話相談では「賃金不払い」が主な相談内容ですから、当事者は「残業は仕方がない」と諦めている可能性もありそうです。しかし、1ヶ月当たり80時間を超える残業等は、違法かどうかよりも健康を損ねる恐れのある目安という意味で注目です。

 

労働安全衛生法のもと、事業所は労働者の安全と健康を確保するよう努めなくてはなりません。たとえば事業所が常時50名以上の労働者を使う場合、産業医などを専任で用意する必要があります。また、1ヶ月に80時間を超える残業等をした労働者が事業所に申し出た場合、医師による面接指導等を実施するよう、努めなくてはなりません。(100時間を超えていて申し出があれば、確実に面接指導を実施)

このような体制を整えていないからといって即、ブラック企業とは言えませんが、従業員の健康に配慮する会社かどうか、会社の制度を確認してみては? あなたが安心して、健やかに働き続けられますように。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]

 

【参考】
※1. 日本テレビ 連続ドラマ『ダンダリン』
※2. 『厚生労働省』「若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する無料電話相談の実施結果【速報】」(2013年9月2日発表)
※3. 『日本経済新聞』「ブラック企業 労働過酷」(2013年12月17日)

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