英ウィリアム王子が育休を取得したニュースは、多くの「イクメン」の励みになったかもしれません。しかし、「イクメン」がメジャーになってきた印象とは裏腹に、社会の大半は、家事・育児時間ゼロの「ゼロメン」が占めているのが実情。彼らは育休をとる男性を嘲り、出世コースから外す元凶になっているのです。

そう、「イクメン」の敵は「ゼロメン」の上司や同僚男性なのです。

 

■ 「イクメン」の敵は男性にあり!

昨年10月に行われた世界経済フォーラム(WEF)によると、日本の世界ランキングは、 GDPで世界3位、就労者数では世界2位にもかかわらず、男女平等度で世界105位と、先進国でも最低ラインに。しかも前年よりも4位も順位を下げています。日本における最大の格差は男女差といっても過言ではないでしょう。

その原因のひとつは、社会のリーダーに就いている「ゼロメン」といわれる「仕事至上主義」の男性たち。彼らは「オムツを変える時間があれば、ミルク代を稼いでくるのが男」という美学をもち、それを後輩男性にも求めています。

 

■ 「ゼロメン」たちの言い分

『AERA』の11月25日号で紹介されていた「ゼロメン」たちのエピソードには興味深いものがあります。銀行勤務の男性いわく「妻の本分は、夫を支え子供を育てること。後輩の男性が赤ちゃんを抱いて寝かしつけている横で、その妻が熟睡しているのを見て、後輩の妻のことを失格者としてずっと悪く言っていた」。

保育園に子供を送るため、朝7時からの会議を欠席した男性に対しては、同僚の男性は「あいつ使えねえ」「保育園なんて、ばかじゃねーか」と扱き下ろし、上司は「ビジネスという戦場から逃げるのか。昔なら銃殺刑だ」と罵倒し、そして彼は仕事の能力が低いわけではないのに左遷されたそうです。

 

■「ゼロメン」から「イクメン」への転向

そんな「ゼロメン」ですが、中には「ゼロメン」から「イクメン」へ転向した男性もいます。

サイボウズ株式会社の社長の青野慶久氏も「ゼロメン」だった一人。職場で死ねたら本望という仕事人間だったそうです。しかし長男が生まれたときに2週間の育休をとったのがきっかけで、睡眠時間以外全て働いていた生活が一転。「こんなに自分が子育てを楽しんでいることに驚きます」と、自らすっかり「イクメン」へ転向し、同社でも育休をとる男性が増えたそうです。なんせ社長が育休をとったのですから。

 

■ 男性が、心置きなく子育てを楽しむには

まだまだ逆風吹き荒れる男性育児道への突破口として、先の青野社長のアイデアは、「アベノミクスの「育休3年」を男性1.5年、女性1.5年と男女で交互に取得するとしてはどうか」とのこと。北欧ではパパ・クォーター制度という一定の育休期間を男性に割り当てるという制度があります。やや強制力のある制度を日本でも展開してはというのが彼のアイデアなのでしょう。

また、NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹氏(2児の父)は「管理職にランチ代予算をもたせ、部下や他部署の社員にランチをおごることを推進してはどうか。子育て中の社員ともランチならコミュニケーションができる。このコミュニティが心のよりどころになり、様々なセーフティネットになる」と言っています。

女性である筆者からみても、「子育て」という素晴らしいアドベンチャーを、パートナーが経験できないことは彼の人生において大きな損失だと思うのです。一人でも多くの男性が、この宝物のような子供たちの時間と、そこで一緒に過ごすことに楽しみを見出し、何にも阻まれることなく、家族の一因として活躍できることを心から願います。

[執筆:マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー)]

 

【参考】
『AERA』2013年11月25日号「上司に育休相談したら『昔なら銃殺刑だぞ』」朝日新聞出版