日本経済新聞の記事(※1)によれば、お気に入りの映画の、好きなシーンだけを見て、短時間に気持ちをリフレッシュする活用法が広まっているとか。さらに、記事に取り上げられた「観ると元気になる映画」からは、女性を取り巻く社会の流れも垣間見ることができそうです。

 

■ 働き女性応援元年

前述の「観ると元気になる映画」断トツ1位は、「プラダを着た悪魔」(日本公開2006年)。主人公は、不本意ながらファッション誌の編集部に就職した、ジャーナリスト志望のダサイ新卒女性。華やかな舞台設定が目の保養となるだけでなく、辣腕過ぎる上司の無茶ぶりに奮起する主人公の活躍や葛藤にグイグイ引き込まれるから、日曜夜に観てパワーをもらうにはピッタリ!

2006年といえば、改正男女雇用機会均等法が施行されました。雇用分野で性差別禁止の範囲が拡大したことや、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止などは、頑張る働き女性の後押しに繋がっています。

厚生労働省の発表(※2)によれば、女性の育児休業取得率は、改正法の施行前2005年(平成17年)で72.3%でしたが、2年後の2007年には89.7%に上昇しました。

 

■ 魅力的な女性上司の不在

6位の「ワーキング・ガール」(同1989年)は、証券会社で働く秘書が主人公。上昇志向は強くても学歴不足がハンディの主人公は、女性上司のケガ療養中に破天荒な行動力で彼女を出し抜き、仕事も恋人も奪います。当時は、昇進するには型破りでないといけなかった?! ちなみに女性上司は、押しが強く、秘書に重要なことを教えないという描かれ方。

日本では1985年に男女雇用機会均等法が公布。女性総合職と一般職との間に、なんとも表し難い壁があったとも聞きます。国民生活白書(※3)によれば、1989年に短期大学と大学を合わせた進学率で、女性が男性を初めて上回りました。とはいえ、短期大学への進学者数が大学を上回る状況は続きました。

8位の「アンカー・ウーマン」(同1996)の年に、女性の大学進学率が短期大学進学率を上回りました(※4)。なお、映画は働きながら大学を出た新人お天気キャスターと、彼女を育成するベテラン男性上司との恋愛ものです。

さて。「プラダを着た悪魔」では、主人公も女性上司も能力を認め合っていることがわかるセリフがあり、やっと、女性の上下関係がフェアに描かれたように感じます。元気になるだけでなく、フェアに相手を認めようと気持ちを新たにできる映画です。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]

 

【参考】
※1. 『日本経済新聞』平成25年12月28日「働く元気 映画でチャージ」
※2. 『厚生労働省』平成20年8月8日発表「平成19年度雇用均等基本調査」結果概要
※3. 『経済企画庁』平成9年11月発表「平成9年国民生活白書」より  第I部 女性が働く社会 第4章 働く女性と教育
※4. 『厚生労働省』平成21年3月26日発表「平成20年版 働く女性の実情」より I働く女性の状況 第2章 大卒女性の働き方