「今年は妊活に本腰を入れようと思うのですが、会社を辞めようか迷っていて……」

年明け早々、20代後半〜30代の女性数人からこのような相談を受けました。仕事を持ちながらの不妊治療は、体外受精などの高度生殖医療に進むにつれ、両立が困難になります。30代になると、人によっては責任ある立場で活躍する機会も増え、時間の調整がしにくいなどの問題もでてきます。バリバリ働く層はもちろん、内勤系の正社員一般職層や派遣社員層もまた、「仕事を休みにくい」「周囲に変に思われる」などの理由で両立の難しさを訴える人が多い印象です。

社会的、制度的な対策が不十分な現状では、雇用・勤務スタイルに関わらず不妊治療との両立が大きな壁となっています。

 

■ 他人の体験談に惑わされない

よく耳にする「会社を辞めたとたんに妊娠した」「辞めてよかった!」という体験談。「きっとストレスのせいで授からなかったんだ」という言葉に反応して「私も会社を辞めれば妊娠できるかしら?」と心が揺らぐことも。確かにストレスが妊娠を妨げることは十分考えられますが、これに関していえば男性も一緒。2人揃って会社を辞めるわけにはいきません。

お金のかかる不妊治療は、資金面も重要です。体外受精をはじめとする高度生殖医療は、通院費はもちろん、注射代や薬代も高額。1回あたり30万円~70万円程度かかることもあるため、さまざまな判断の前に経済面を勘案することが大切です。

 

■ 会社を辞めずに妊活する方法も考える

とはいえ年齢・時間との勝負ともいわれる妊活は、人によっては“待ったなし”。不妊治療のために会社を辞める選択も考えつつ、子どもができなかった際の人生について考えることも大切です。妊活のために仕事を辞めて専業主婦になったけれど、社会から取り残された感と居場所のなさを感じて、精神的に追いつめられるケースも少なくありません。

可能であれば「細く長く」働き続ける可能性を見極め、どんな形ででも働き続けるという選択をとるのもいいかもしれません。

 

森三中の大島美幸さんの妊活休業宣言が記憶に新しいこの頃ですが、「妊活休職」は一般にはまだあまり馴染みがありません。個人の判断に委ねられることだからこそ、悔いのない選択をしてほしいものです。

[執筆:渡辺さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰), 2014年2月5日]