政府は昨年、「2020年までに、指導的地位に占める女性の比率を30%まで増やす」方針を掲げました。それに伴って上場企業は、ホームページなどで女性役員数や管理職比率を公表し始めています。

日本経済新聞の記事(※1)によれば、上場企業の女性管理職の割合は、33業種全体の平均で4.9%。もともと女性の活用比率が高かった「保険業・金融業・空運業・人材サービス業」をのぞく29業種では、一桁です。

まだまだ女性管理職数は少ないですが、この動きが進めば、女性の活躍度合が外部から分かりやすくなるため、企業や投資家が注目しているのだとか。その背景には、こんな狙いがありそうです。

 

■ 企業の業績アップ

厚生労働省の調査(※2)によれば、総合職で入社した男女の10年後の離職率は、男性29.2%に対して、女性は65.1%。年齢から察するに、結婚や出産等のライフイベントが起きたと想像される一方、女性の同僚や先輩が少ない、つまり男性中心の組織で心細さや無力感を感じて転職したことも想像されます。こうしたことから、ロールモデルの必要性が高まりました。

経験を積んだ社員の離職は、企業にとっても戦力を失う損失。だから企業は、戦力としての女性を繋ぎ止めるために、あるいは意欲の高い女性のとっての目標として、活躍女性のロールモデルを示すのです。ちなみに、女性が活躍する企業の業績は良いとの調査結果もあるようです。

 

■ 株価アップ

別の日本経済新聞の記事(※3)によれば、投資家が注目するEGS(環境・ガバナンス・社会)項目の上位5位内に、女性取締役比率、女性管理職比率がランクイン。つまり、この数値を上げると投資対象として目に留まりやすくなり、株価が上がる可能性があるということ。

株価が上がれば、企業価値を表す「時価総額」も上がります(時価総額=株価×発行株式数)。時価総額の上昇は、企業成長の指標としても明確なため、政府は経済成長の戦略のひとつに「女性管理職数の増大」を掲げているのです。経済を成長させました! と胸を張れますもんね。

 

シニカルに考え過ぎかもしれませんが……。頑張る女性(と男性)を、きちんと評価する仕組みと、働き続けやすい環境が整うよう、企業に社会に期待しています。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント), 2014年3月18日]

 

【参考】
※1. 『日本経済新聞』2014年3月1日「女性管理職4.9%に」
※2. 厚生労働省「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」平成22年度調査 PDF
※3. 『日本経済新聞』2013年7月8日「女性の活躍『見える化』」