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産休の前にまず「妊休」!? 妊活休暇の最新事情とは
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産休の前にまず「妊休」!? 妊活休暇の最新事情とは

女性が長く働き続ける上で少なからずネックになってしまう妊娠・出産。育休取得率は83.6%(※1)であるものの、取得は大手企業などに偏りが目立つなど、全ての職場で通用しているとはいいにくいのが現状です。また復帰後、マミートラックに乗ってしまい離職するケースもあるなど、女性が産み育てながら働く上ではさまざまな課題があげられています。

そんななか、最近、“未妊”段階の働き方を考える取組みにも注目が集まりつつあります。今年1月に話題を呼んだ森三中大島さんの妊活休業宣言。このアクションは、女性社員を多数抱える企業にさまざまな影響を与えたことでしょう。大島さんは今月から、予定通り妊活休業に入ったため、今後の動向にも注目が集まりそうです。

 

■ サイバーエージェントが5月からはじめた「妊活支援制度」とは

株式会社サイバーエージェントは女性社員の働き方を支援する新制度として、在宅勤務や妊活休暇などを可能にする「macalonパッケージ」を今月から導入しました。妊活支援では、既存の有給休暇に加えて月1日、不妊治療の通院などで妊活休暇を認め、投薬後の体調不良などによる当日取得も可能とのこと。その他、専門医などの個別カウンセリングを受けられる「妊活コンシェル」を新設しサポートしていくとのことです。

一般に妊活支援は、傷病休暇や有給の積立など、既存の休暇を不妊治療でも取得できるようにする企業は増えていましたが、今回のように妊活支援を前面に打ち出した試みは大手では初となるため、今後も注目が集まりそうです。

 

■ 優秀な女性に長く働いてもらうために

同社によると、全社員における女性社員比率は32%、2014年度の産休・育休後の復帰率は96.3%。女性の活躍が際立つ同社ならではともいえるこの取組みは、実際に女性社員の声を取り入れて練られたものだといいます。女性社員が取得する休暇の呼び方を統一することで上司や同僚に利用用途がわからないように配慮するなどし、定着を促していくようです。

 

■ 妊活休暇制度へのさまざまな反応

働きながら不妊治療をする難しさを実感してきた筆者としては、妊活を支援するこうした企業の取組みはとても素晴らしいと思います。とはいえ、広く定着させていく上ではさまざまな課題もあるように感じています。

「生き方やライフスタイルが多様化しているからこそ、もっと個人を尊重してもいいのでは?」と話すのは、育休取得者が多いという企業で働く20代独身女性のAさん。育休や子どもの病気など、何かと権利を主張する女性社員とのコミュニケーションに辟易しているといい、「独身女性へのバイアスがかかるなか、ネーミング重視の妊活休暇が一人歩きしてしまったら、今度は妊活で権利を振りかざされる心配も…」と胸のうちを明かしてくれました。

 

「妊活」という言葉自体、広く知られるようになった昨今ですが、だからこそ「妊活」とはどの範囲までをさすのかを明確にする必要がありそうです。また、妊活や不妊治療は頑張れば結果が出るというものでもないという事実をどのように制度に取り入れていくのか、取得頻度によっては上司や同僚に利用用途を説明する必要もでてくるように思います。今後の企業での取組みに引き続き注目していきたいと思います。

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]

 

【参考】
※1.  2012年度の雇用均等基本調査(厚生労働省)による
※ 株式会社サイバーエージェント プレスリリース「在宅勤務や妊活休暇など新制度「macalon(マカロン)パッケージ」を導入」2014年4月25日

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