働きながらいずれ子どもを授かりたいとお考えのみなさん、もしも不妊治療をすることになって仕事との両立が難しいとなれば、どうしますか?

筆者がこれまでお会いしてきた働く女性の皆さんからは、「治療に専念しなければならなくなったら仕事を諦めるだろう」という意見が目立ちました。「選ばなければ仕事はあるけれど、妊娠は年齢との戦いだから」……。会社を辞める、フルタイムからパートタイムに切り替えるなど、好むと好まざるとに関わらず仕事のペースダウンはやむを得ないという声が多数。

確かに、働きながらの不妊治療は何かと負担やストレスがかかりやすいもの。でも、だからといってキャリアダウンは本当に避けられないのでしょうか?

今回は、発想の転換ともいえる方法で仕事と不妊治療を両立し、どちらの道も自分らしく切り拓いてきた女性のケースに注目しながら、上手に両立する方法について考えていきたいと思います。

 

■ 治療のステップアップとともに昇進、チームリーダーに!

取材で出会ったAさんは、外資系企業に勤めるコンサルタント。人工授精から顕微受精にステップアップする際、あえて昇進という道を選び、10人の部下を束ねるチームリーダーになりました。Aさんの会社では数年前から女性コンサルタントを積極的に採用しており、昇進にあたって彼女が任されたのも、女性が7割の新規事業開発部。治療の事情を知っている上司の理解と後押しで「今までにない柔軟な発想と働き方を根づかせてほしい」というミッションをもち、30代女性初の管理職に抜擢されたのです。

 

■ キーワードは巻き込み力

Aさん曰く、大切なのは「巻き込み力」。治療も仕事も抱え込んでしまうことが一番危険。一人で全部を背負おうとするのではなく、時には人に頼んだり、甘えたりすることもマネージャーに必要な力なのでは、と話します。

Aさんは、女性主体のチームということもあり、まずはあえて不妊治療をオープンに。どうしても会議の場にいられないときは外からSkypeをつないで参加したり、電話でのフォローを徹底したりとある意味、治療に付き合ってもらいながら仕事のバランスをとったのです。「独りよがり、やりたい放題、という印象を与えないようにコミュニケーションを何より大切にしました」。

若手社員にリアルな背中を見せてきたことで、ワークライフバランスを意識した働き方を早い段階から意識させることもできたようです。Aさんは1年後に妊娠し、約半年の育児休暇を経て同じポジションに復帰しました。

 

いかがでしたか? 今回はあえて管理職になり、自らの裁量で仕事をつくる働き方をご紹介しました。もちろん一朝一夕にできることではありませんが、意識と頑張り次第では、このようにあえてワークとライフを融合しながら働くことも可能です。「どちらかを諦める、セーブするのではなく、どっちも! という欲ばりかつ攻めの姿勢もありですよね」とAさん。こうした働き方がもっと定着していくといいですね!

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰), 5月31日]