新しい働き方とか、労働時間規制緩和などと注目を集める「ホワイトカラー・エグゼンプション」。政府は2016年春の実施をめざしていますが、この制度の対象者を誰にするのかが、実施の争点になりそうです。

 

■ 制度のポイント

ホワイトカラー・エグゼンプションとは、肉体的労働者ではない労働者に、働いた時間ではなく成果に対して報酬を払う制度。短時間で成果を出せればプライベートな時間が増えるため、新しい働き方として注目されていますが、成果を出せなければ残業代不払いが許されてしまう! との声があるのです。なぜでしょうか。

たとえば、日本の一般的な労働時間の上限は1日8時間、週40時間と労働基準法により決まっており、この法定労働時間を超えて働いた分に、企業は残業代を払います。この法律では管理職は規制の対象外で、残業代などは支払われていないことから、残業代をアテにする(せざるを得ない)管理職未満の方には脅威なのです。

 

■ 対象者は誰に?

日本経済新聞の記事(※1)によれば、制度の対象者を、年収1000万円以上かさらに高年収にするのか、仕事のレベルを世界的な高度専門職(例:金融ディーラー等)に限るのか、管理職手前まで広げるのかなど、揺れています。2007年に国内で検討した際には、年収900万円以上の管理職手前の社員を対象にしたものの、該当者が雇用者の1%未満だとか。

対象者を絞り過ぎると、制度がなし崩しになることがわかりますね。働く人の労働生産性を高めることが狙いならば、年収制限を下げる可能性もあるのです。

そうはいっても、年収500万円以上の女性は、わずか3%との調査結果(※2)もあります。ホワイトカラー・エグゼンプション対象者の多くは男性かもしれませんが、今後もニュースに注目したいもの。たとえば、パートナーが育児に関わる時間が増えるかもしれませんよ。

なお、対象者に該当しても、制度活用を希望するかしないか、個人で選択できそうです

残業代不払いを目的に、ホワイトカラー・エグゼンプションを企業が導入することは、許されません。けれど、長時間労働こそが会社への貢献だとか、長時間労働しないと給与が足りないなどの考え方が、これを機に一掃されることを願っています。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント), 2014年6月3日]

 

【参考】
※ 『日本経済新聞』2014年5月29日朝刊「労働規制を緩和」
とらばーゆ総研 「ラララとらばーゆ総研~働く500人の気になる!マネー事情~収入編」