安倍首相はウーマノミクス(※1)を成長戦略の重要な柱と位置づけ、2020年までに企業の女性管理職比率を30%にするという目標を掲げています。

たしかに企業での女性管理職登用のニーズは増えてきていますが、女性社員の活用自体、なかなか思うように進んでいないと感じるのはなぜでしょうか?

 

■ 近い将来の自分の姿がうまく描けない…

結婚や出産が現実に迫ってくる20代後半くらいになると、バリバリ働いてきた人でも「これから、どう働いていこう?」と悩みはじめることが多くなります。結婚はともかく、出産後は勤務時間や仕事の量、難易度を下げる可能性が高いからです。

「産んだ後の受け皿が不十分。果たして第一線に復帰できるのかな…」

「出産後は家庭の状況に応じて柔軟に働き方を変えられたらいいけど、そんなの現実的じゃない。キャリアロスが心配…」

「子どもと仕事って、そもそも天秤にかけるものじゃないけど、必然的にどちらか選ばなければならないようで、やる気が低下してしまう…」

筆者の周囲ではこうした声をよく聞きます。意識が高く、比較的バリバリ働いてきた人ほど、出産と同時にキャリアが断ち切られる危機感を抱きやすいようです。

 

■ バリキャリとゆるキャリの狭間で揺れる

近年、育児をしながら仕事を続けていくための制度や環境は急速に整いつつあります。さらに、出産後も働き続けたいという人の割合も77.2%(※2)と高い傾向に。にもかかわらず、上記のような不安が続出するのはなぜでしょうか?

背景にあるのが、バリキャリとゆるキャリの二者択一しかないという、なんとも歯がゆい現状です。せっかくキャリアを積み上げてきたのに、子育てをしながらだと責任ある仕事を任せてもらえず、補助的な業務ばかりで閉塞感が募る…。仕方なくゆるキャリを選んでもマミートラック(※3)に乗せられてモチベーションが急降下…。結局退職してしまった、という例もあるほどです。

 

■ 「OR」から「AND」へ、働き方を柔軟に変えられる仕組みづくりを!

少々極端な表現ですが、これまでの女性のキャリアは「産まない、もしくは多少家庭を犠牲にしても構わないならバリキャリ路線!」、「家庭や子どもを大事にしながらマイペースに働きたいならゆるキャリ路線!」という2通りの道しかありませんでした。これからは働き方の幅を広げ、リーダーを育て送り出していく時代。「OR」から「AND」へ、ライフイベントの変化とともにどちらの働き方も柔軟に行き来しながら長く働ける仕組みを定着させる必要があるのでは。

20年以上前から女性マネージャーが活躍しているP&Gでは、女性が働きながら子育てをしやすいフレックスな働き方や体制があるそうです(※4)。こうした事例も参考に、まずは「予備軍」の女性たちがマネしやすいロールモデルをたくさんつくっていけたらいいですね。

[執筆:渡辺さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰), 2014年6月5日]

 

【参考】
※1. 「ウーマン」と「エコノミクス」を合わせた造語。女性が働き手として期待され、消費者としてもリードする経済のこと
※2. 『日経ウーマン』2013年10月号「産んで働き続けるための新ルール」 日経BP社
※3. 子どもを持つ女性の働き方のひとつで、仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのこと
※4. 『The Huffington Post』「「休職後、マネージャーに昇進しました」女性役員47%、P&Gの働きかた」2014年05月27日