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母娘に引き継がれる「長女症候群」、断ち切る方法は?
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母娘に引き継がれる「長女症候群」、断ち切る方法は?

今年7月に奈良県で、50代の娘が80代の母親に食事を与えず、栄養失調で死なせた事件がありました。この事件で筆者が注目したのは、逮捕された娘が“長女”という点です。

 

■ 母親と長女の特別な関係

母娘問題では、母と娘の関係における確執や共依存などがありますが、その一つに「長女症候群(シンドローム)」があります。

これは、母親が長女を支配し、その長女が結婚して女の子を出産すると、長女がその子を支配する。この関係が延々と続くことを言います。母娘問題カウンセリングを行っている筆者のところに来られる娘さんも“長女”が圧倒的に多いのですが、母親と長女には、特別な関係性が存在します。それが娘さんを苦しめる原因となってしまうのです。

 

■ 長女の役割を押しつける母親、期待に応えようとする娘

母親と長女の関係では、母親は初めての育児で何かと不安になり、子供に対して過保護から過干渉になる傾向があります。一方、長女は妹や弟の誕生によって、母親から姉としての役割を期待され、それに応えようとします。

または、予期せぬ妊娠によって長女を出産し、心の準備がないまま母親になった人もいます。このような場合には「あんたのせいで私は結婚させられた」と、長女のせいにする母親も。長女はそれを受け止め、自分を責めてしまうのです。

一方、男の子の場合は異性ということもあり、母親の接し方が違ってきます。やがて長女は、母親の、兄や弟妹への対応が自分とは異なることに違和感を覚え、求められる役割をこなすのが苦痛に。しかしその根底には、「私は愛されない存在」という自己不信もあるのです。

 

■ 長女症候群の連鎖を断ち切るためには

こうした長女症候群の問題を乗り越えるには、母から長女へ支配の連鎖を断ち切ることです。そのためにはまず、自らが長女症候群のケースにあたると気付く必要があります。

例えば「私は長女だから、家族のために○○をしなければ」という思いが強い人は要注意。母親の期待に応えているうちに、いつしか当たり前のように振舞っていることが、実は精神的負担になっていることを認めましょう。そして、役割と感じられる一つ一つについて、自分がしたくてやっていること・やりたくないことの線引きをしてみます。それが明確になると、やがて母親に「NO」と言える自信につながります。

それでもなかなか「NO」と言えない場合には、本来自分の内に備わっている勇気を見つけるために、カウンセリングなどを利用してみるのも解決策になるでしょう。

[執筆:真香(母娘問題カウンセラー)]

 

【参考】
※ 『YOMIURI ONLINE』2014年7月3日「84歳母を放置し死なす…奈良県警が長女を逮捕」

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