あなたの周囲にこんな人はいませんか? 場を盛り上げるムードメーカーでもありみんなのまとめ役。このような人は、家族の中でも同じような役割をしている可能性が。父母の喧嘩が絶えず兄弟同士の会話もない。機能不全の家庭にあっても明るくふるまうマスコット的な存在です。家族の雰囲気をよくしようと中心的役割を演じているため、いつのまにか親兄弟から頼られるようになりますが、場合によっては共依存に発展する危険性があるのです。

 

■家族をつなぎとめるマスコットの役割

母娘問題カウンセリングを行っている筆者のところには、母娘の共依存で相談に訪れる方が数多くいます。アメリカのファミリーセラピストであるWegscheider-Cruseは、家族の共依存について次のような役割があると指摘しています(※)。

「役割の一つがマスコットであり、機能不全家族の中で明るくふるまうことで自分に注意をひく子供のことをいう。依存者の人生や家族を明るくする役割をもつ」

筆者のクライアントのC子さん(31歳)も、カウンセリングを受けて自分がマスコットの役割を演じてきたことに気がついたと言います。

C子さんの家庭は両親の仲が悪く、兄も妹も反発するようになりました。しかし、C子さんは元気にふるまい食事時には笑わせるなどして、家族をつなぎとめようと必死でした。そのような状況にあって、家族、とくに母親がC子さんに依存するようになり、本人も頼られることに悪い気はしませんでした。ところが父親が急死し兄が独立、妹も結婚したことで母親との関係が変化したのです。というのも、夫や子供の悩みがなくなった母親は、男友達までできて態度が一変。C子さんと距離を置くようになったのです。

 

■ 「家族のために」と思う自分に気づくこと

母親の変化に対し、C子さんは「自分はもう必要ではない」と自己否定までするようになりました。「外出も控え家族に尽くしてきたのに、私は犠牲になった」とカウンセリングに来られたC子さんでしたが、マスコットの役割により自分の存在価値があると信じ込んでいたことに気づいたのです。

C子さんのようなケースでは、頼られることで「私が何とかしてみせる」と優越感すら感じることがあるはずです。そんなときは一度立ち止まってみて下さい。それが本当に家族のためにすべきことなのか、どうしてもあなたがしなければならないのか、自問自答してみましょう。共依存への深みにはまらないために、マスコット的役割から抜け出すきっかけになるはずです。

[執筆:真香(母娘問題カウンセラー), 2014年8月20日]

 

【参考】
※ 藤田ミナ,岡本祐子(2009)「青年期における母娘関係とアイデンティティの関連」広島大学大学院心理臨床教区センター紀要 pp.124より