■ 新しいリーダーシップスタイル「フェミニン」

政府は指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%以上とする目標を掲げているため、これから女性がどんどんリーダーになることを期待されています。しかし、旧来の企業社会におけるリーダーのイメージは押しが強く、上に立って指導していくというイメージのため、「私には無理……」と尻込みする女性も少なくないようです。

そこで『ワークシフト』のリンダ・グラットンも大絶賛したという本『女神型リーダーシップ―世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である―』(※)から、従来の垂直型組織の強いトップダウンスタイルではない、時代に求められるリーダーシップスタイルのヒントを得てみたいと思います。

本書では、膨大なデータベースと世界13か国6万4千人を対象にした著者二人の独自の調査は「成功している起業家、リーダー、オーガナイザー、クリエーターが示す特徴の多くは、一般に『女性的(フェミニン)』とよばれる性質に由来していた」と著しています。ここでいう『女性的(フェミニン)』とは性別による属性ではなく、誠実さ、共感力、コミュニケーション力といった資質のことです。

 

■ 思いやりや親しみやすさを武器に

先日、成功している女性起業家に部下に対する接し方で気をつけていることを伺ったときに、「朝出社したら部下に声をかけて、顔色や声のトーンや視線から、調子はどうかな、何か変化はないかなと観察します。あとはランチのときなどに、何でも相談しやすい雰囲気をつくる。そういうふうに部下を常に気にかけ、配慮することの積み重ねです」とおっしゃっていました。

また、私のメンターでもある一部上場企業でトップを務めた経験のある男性に、リーダーシップスタイルについて聞いたところ「自分はたまたま上司になっただけで、人格的に優れているとか思ったことはない。常に部下が何を考えているかを知ることが、上司の仕事。だから部下の視点まで降りて、話しをトコトン聴くことが大事」とおっしゃっていました。

共通するのは部下が何を考えているのかを理解しようという姿勢。そういった共感力や傾聴力は、一般的に社会性が高いと言われる女性が強みとしている部分かもしれません。しかし男性でも訓練次第ででき、しかも男性がやると女性よりも好印象が得られるという副産物がついてきます。

つまり女性らしいと言われる社会性、つまり思いやりや親しみやすさ、誠実さなどを武器にリーダーシップの一つのスタイルを築いていくことは、女性にとっても男性にとっても新しいリーダー像を増やすことのヒントになりそうです。

[執筆:小倉 環(キャリアカウンセラー) , 2014年9月11日]

 

【参考】
ジョン・ガーズマ, マイケル・ダントニオ(2013)『女神的リーダーシップ 世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である』