■ 子供のうつ病が増えている

心の病であるうつ病が社会問題になっていますが、改善の兆しは見られません。さらに深刻な影を落としているのが、子供のうつ病の存在です。大人の場合は自発的に医者の診断を仰ぐこともできますが、子供だと自覚ができず、周囲の大人も気がつかないことが多いため、うつ病だとわかりづらい状況があります。2007年に北海道大学が実施した子供のうつに関する調査によれば、小・中学生738人のうち、典型的なうつ病の有病率は全体で1.5%、とくに中学1年生は4.1%でほぼ成人の有病率と同じだそうです(※)。

 

■子供のうつ病に、気がつかないふりをする母親

母娘関係改善カウンセラーの筆者のところに来られるクライアントの中にも、うつ病と診断された方もいます。その中の幾人かは、子供の頃からうつの傾向があったのですが、親はおかしいと感じていながら、見て見ぬふりをしていたと言います。

現在、服飾関係の仕事をしている20代半ばのC子さんは、中学生の頃に学校でいじめにあい、家庭でも両親の喧嘩が絶えなかったことから、毎日鬱々とした日々を過ごしていました。近所の高層マンションから飛び降りたら、どんなに楽になるかと考えたこともあります。しかし、そんな暗い表情のC子さんに母親は素知らぬふりで、優しい言葉ひとつ、かけてはくれませんでした。

そんな母親のことをC子さんは、「世間体をとても気にする人でしたから、自分の子がうつ病だなんて、認めたくなかったのでしょう」と言います。大人になったC子さんが当時を振り返り一番つらかったのは、自分がうつ病ではないか不安に感じる以上に、娘が心の病で苦しんでいるのを認めようとしなかった母親の態度だといいます。

 

母子の間にできた溝を埋めることなく大人になった女性たち。しかし、そうしたクライアントの中には継続してカウンセリングを受けうつを克服した人もいますし、つらい経験を活かすべくカウンセリングを学び始めた人もいます。

本来なら子供にとって一番の理解者であるべき母親の助けが得られないようなケースもあるため、今後は、社会全体がもっと子供のうつに関心をもって取り組むべき時期にきているのではないでしょうか。彼女たちの苦しみを無駄にしないためにも。

[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー), 2014年10月8日]

 

【参考】
※ 傳田健三, 北海道大学大学院 保険科学研究院生活機能学分野「子どものうつ病と発達障害」pdf