東京オリンピック決定以降、日本を海外へアピールするため、日本の伝統や文化に改めて意識が高まっている今日この頃。もともと日本は、世界でも稀にみる二千年以上の歴史を誇る国です。文化のみならず礼儀を重んじる高い精神性は、東日本大震災においても混乱の中で、冷静な行動をとった日本人に驚きと賞賛をもって世界で報道されました。

そんな考え方や生き方を「女性」をテーマに表現した『女子の武士道』(※)という本に出会いました。今日は、日本の美徳を伝えるこの一冊から、現代の女性の生き方に役立つエッセンスをご紹介したいと思います。

 

■ 日本ならではのもの

筆者は仕事で、女性のキャリア研修を実施していますが、そもそもキャリア理論の多くは近代、米国の心理学の中から生まれたものが多く、その考え方は日本人にとっては論理的で斬新なイメージはあるものの、心に響かせるのは非常に難しいと実感しています。現代を生きる女性は、古くからある男女の役割や女性のあるべき姿という枠から逃れようと必死に新しい考え方を取り入れ頑張っていると思いますが、職場でも家庭でも旧来からの価値観との板挟みになっているような気がします。

しかし、この本で語られる女性の生き方は、武家を生き抜いた女性たちは、家庭でも家事・育児だけでなく様々な「仕事」で役割を持ち、責任感とプライドを持って全うしており、単に封建時代の男尊女卑の世界のイメージとはまったく別のものであると筆者は感じました。武家の教えを著書に記した石川氏も、日本は昔から男女共同参画の社会であったと述べています。

 

■ 働く女性の武士道

武家の社会では、女性は家庭内の仕事だけでなくなんらかの形で社会とつながる仕事をしていたようです。武家の娘として明治から昭和の変化の時代を乗り越えた石川氏の祖母の教えによれば、「生まれ持った才能を世のために使うのが“仕事”」とおっしゃっていたそうです。なんとこれは、キャリア教育でもの大事な基礎。

他にも、

  • 仕事で他社から期待されることは「信頼」の証であるから、最後まで責任を持つべし
  • お客様に対して常に胸を張っていられるようなでき具合となるようプロ意識を持つ
  • 好機が来た時には迅速に迷いなく行動に移す

などなど、現代の仕事にも通じる心得がたくさんあります。

 

昭和になって、企業社会が「サラリーマン」という職業を作り上げ、女性が家庭に引きこもるようになりましたが、古くから日本では女性も社会とつながりをもって働いていたのだと思います。改めて、そんな時代から受け継がれる精神を学び直すとしっくりくるのではないでしょうか。

[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー), 2015年1月9日]

 

【参考】
石川真利子(2014)『女子の武士道』致知出版社

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