『日本経済新聞』の記事(※1)によれば、日本の主要な企業経営者の約9割が「従業員が仕事や働き方に満足している」と自信を持つ一方、働く人(筆者注:必ずしも、上述の企業の従業員というわけではありません)の満足度は56%に留まるとか。大きな隔たりの一因に、“お金”が関係するようです。

 

■ 給与について、経営者の考え方は?

記事によると、働く人の不満理由は多い順に、「収入が少ない」「やりがいがない」「正当に評価されない」でした。しかし経営者の関心は、「残業、長時間労働の削減や見直し」「女性社員の活用策」など、働き方の制度づくりに関することが上位5項目を占め、賃金に関する項目は5項目に含まれていません。

調査の結果から、経営者が賃金の適正さには自信を持っていると思われます。働く私たちも働き方に関心がないわけではありませんが、まずは収入第一。ですが、給料を“要求し過ぎ”なのでしょうか?

 

■ 物価の視点で給料を見てみると

日本と、GDPが同じくらいのイギリスとでは、1時間あたりの賃金に違いがあるのか見てみましょう(※2)。

  • イギリス…GBP 14.18 (筆者注 約2,517.51円、1GBP= 177.54円で換算)
  • 日本…2,244円

為替に左右されるものの、円安の現在では、時間当たり約270円の差があります。ひと月の労働時間を154時間(7時間/日×22日)とするなら、その差額は41,580円に!

もっとも、イギリスの物価は日本より高いようです。イギリスの経済誌『エコノミスト』が発表する「ビッグマック指数」(※3)によれば、日本で350円なのに、イギリスでは約1.4倍高い500円。物価比と同様に賃金比も考えるなら、日本の賃金は約1,800円になってしまいます。十分な賃金を払っている、と考える人もいるのかもしれません。

教育や社会福祉などの負担率などが同じではないため、一面的な捉え方に過ぎませんが、前述のように、私たちの給料が中々上がらない背景には、“物価安”の影響もありそうです。アベノミクスは、デフレ撲滅で賃金アップを掲げていますから、今後の行方に注目してみましょう。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント), 2015年1月16日]

 

【参考】
※1. 『日本経済新聞』2015年1月5日 「仕事に満足」すれ違い
※2. 『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』「データブック国際労働比較2013」第5章 賃金・労働」
※3. 『世界経済のネタ帳』「世界のビッグマック価格ランキング」

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