勤続歴の長い友人が、「有給休暇。年に20日あるけれども、ほとんど使えなくて捨てちゃうのよね」とポツリ。有給休暇は労働基準法で定められたせっかくの権利ですが、休むと周囲にしわ寄せがいきそうで…などと積極的に使いづらい空気があるのは、残念なことです。

でも、こうした状況は少しずつ変わりそう。厚生労働省は、10月を「年次有給休暇取得促進期間」に決めました(※1)。詳しく見てみましょう。

 

■ めざせ! 有給取得率7割

国は、2020年までに有給取得率を70%とする目標値を掲げているとか。調査によれば、最近の有給取得率は2012年47.1%、2013年48.8%ですから、70%はハードルの高い目標値といえます(※2)。

もちろん、国が企業に対して強制的に目標を達成させることなどできません。しかし、企業と労使が来年度の条件等の話し合いを始める前月、すなわち10月を「促進期間」として広報し、企業・労使に有休を取得しやすい環境整備を促すねらいがあるのだとか。

 

■ 有休をとりやすい工夫

読売新聞の記事(※3)に、環境整備に取り組む企業の例が掲載されていました。

  • 毎週の会議で誰がいつ休む予定なのかを共有。有休取得で実績をあげた部門の社員には、賞与に報奨金を上乗せする。
  • 年5日分の有休を1時間単位で取得可能に。(利用例:子どもの通院による1時間遅れに、資格取得学校に通うために1時間早退など)
  • 4日以上の連続取得に5万円の手当を与える。

企業にとっては人件費アップになりますが、労働力が減っていく現状では、優秀な人材を確保するためにも、働きやすい環境づくりで企業の魅力を高めることが必要。こうした取り組みに力を入れる企業は増えると期待しています。もちろん働く側も、休暇取得前には、仕事の調整や業務の引き継ぎなど、しっかりと。

 

ところで、厚生労働省の広報の副題には「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」との言葉があります。前述の調査によれば2013年の取得率の男女比は、男性45.6%、女性56.0%。有給取得率70%という目標達成のためには、男性が休みやすい環境整備こそがカギなのです。ワーク・ライフ・バランスといえばこれまでは、働く女性に焦点が強く当たってきましたが、ますます男性も巻き込むことになるでしょう。あなたの男性上司が、率先して有休を取る、そんな職場に変わる日は近いかも?!

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント), 2015年1月31日]

 

【参考】
※1. 厚生労働省,2014年9月30日発表「10月は年次有給休暇取得促進期間です」
※2. 厚生労働省,2014年11月13日 「平成26年就労条件総合調査結果の概況」より労働時間制度
※3. 『読売新聞』2015年1月6日「有給休暇 柔軟に消化」