仕事柄、働くアラサー女性のリアルボイスを聞かせていただいています。最近よく耳にするのが「将来の自分の姿がイメージできない」というお悩みです。

 

■ キャリアデザインが難しいワケ

ある女性は、キャリア開発のセミナーで「10年後の自分をイメージしよう」というワークをしたところ、完全に手が止まってしまったそうです。「3年後ならまだしも10年後なんて全くイメージできない…」。彼女は、その場から得るものはほとんどなかったようです。

この話を聞いた筆者はただただ彼女に共感するのみ。私も10年後はおろか3年後が具体的にイメージできるかと問われれば、答えは「ノー」です。

社会の変化のスピードが早く、組織のあり方や個人の働き方も変わってきているいま、大きな意思決定をし、確かな未来設計図を描くことはなかなか困難です。それに、女性の人生はライフイベントなくして語れないのですから!

 

■ 二項対立ではない「キャリア」と「ライフ」

そもそも多くの女性にとって、キャリアとライフは切り離して考えられるものではありません。

 

最近の世の風潮、「産めや 育てや 働けや」って言うけれど、彼氏もいないいま、できることは限られてるし…。年を重ねるほど妊娠しにくくなるなんて言われても焦りが募るだけ!

 

せっかくやりたい仕事に出会えて昇進もできたのに、妊娠したら異動させられそうになった(怒)!

こうした事例を聞くたびに、キャリアとライフはセットだなぁ、とつくづく感じます。特に結婚や妊娠といったライフイベントが迫ってきている女性にとって、この不確定要素が多い時期にあえていろいろ考える必要があるのか…疑問にすら思うわけです。

 

■ デザインするより、ドリフトしよう!

そこでおすすめしたいのが“意思をもって流される”という生き方です。神戸大学大学院教授の金井壽宏氏は、これを「キャリアドリフト」という言葉で説明しています(「ドリフト」とは「潮風に流される」、「漂流」の意)。

10年、20年後のキャリアを設計する(キャリアデザイン)のではなく、あえて変化に適応しながら偶然のチャンスを活かしていこうという考え方です。

運任せにただ日常をなんとなく過ごしていても変化は起こりませんが、意思や志をもって日常を過ごし、小さな選択や関心ごとにも注意をむけてみると意外な発見があるかもしれません。普段ならまず観ないようなジャンルの映画を観てみるとか、紹介された本はとりあえず読んでみるとか…きっかけはそんな小さなことからでOK。むしろ、この“ユルさ”こそ忙しい働く女性には必要だと筆者は考えます。

迷える女性のみなさん、今年は「ドリフターズ」でいきませんか?

[執筆:渡辺さちこ, 2015年2月6日]

 

【参考】
金井 壽宏(2002)『働くひとのためのキャリア・デザイン』PHP研究所
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