■ 幼少期の虐待が影響する愛着不形成

最近、「愛着障害」という言葉を聞いたことはありませんか。マスコミなどでも取り上げられることが多くなっています。

「愛着障害」とは、乳幼児期の虐待やネグレクトにより、保護者との安定した関係が絶たれたことで引き起こされる症状のことです。

2月にはNHKの番組「クローズアップ現代」で愛着障害に関する特集が組まれました。その中で、2013年に起きた広島強盗殺人事件が報じられました。この事件は主犯格の少女A(16歳)と被害者の女子生徒B(16歳)の間にトラブルが生じ、Aは仲間とBを殺害後遺棄するといった残酷なものでした。

昨年、Aに一審判決が下されたのですが、求刑より減刑されました。その理由は、Aが幼少期に虐待を受けたことにより愛着不形成であったことが考慮されたのです。

この「愛着」という言葉について精神科医の岡田尊司氏は、「パーソナリティが出来上がるうえで、一番その土台となっているのが愛着(アタッチメント)です。愛着は生後一年半までに母親との関わりによって形成される半永久的な絆です」と説明していますが、Aは母親から充分な愛情を得られなかった愛着障害から、怒りなどをコントロールできなかったと言われています。

 

■ 怒りの爆発が娘に向けられる

愛着障害を示す例として衝動的な行動や、親密な人間関係を結べないといったことが挙げられていますがこれらは、母娘関係改善カウンセリングを行っている私のもとに寄せられる母親の典型的な特徴です。娘さんが話す「さっきまで普通だったのに突如怒り出すし」「親戚づきあいもせず友人もいない」といった母親像と一致するのです。

さらに、母親の約8割が実母と疎遠であり、母自身が愛着障害の可能性が高いと思われること多々あります。こうしたケースで訪れるクライアントの相談で一番多いのが、母親自身の感情コントロールができず、怒りが娘に向けられるといったものです。

この場合、愛着障害に関する情報や母親の幼少期の境遇を知ることで、感情爆発のメカニズムが理解できるようになります。しかし、理解できたといっても怒りをぶつけられるのは大きなストレスになります。大事なのは、母親自身が自分の問題に気づき愛着障害と向き合うことです。関連書籍なども出版されているので、機会を見て読書を薦めてみる方法もあります。

[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー), 2015年2月25日]

 

【参考】
岡田尊司(2011)『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』光文社
岡田尊司(2014)『なぜいつも“似たような人”を好きになるのか』青春出版社
『NHKクローズアップ現代』「少年犯罪・加害者の心に何が ~「愛着障害」と子供たち~」