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女性活用、「○○管理職」だと思わせない働き方とは?
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女性活用、「○○管理職」だと思わせない働き方とは?

女性も働きやすい世の中に、と言われ始めたのは、ほんの2~3年前のこと。ですから、アラフォー以上の女性管理職の中には、仕事だけに生きるつもりはなかったけれど、なんとなく縁がなくて仕事の手を抜かなかったから…という場合も多いのです。特別に野心家ではなく成果を挙げたところが素敵! と思うのですが、本人たちはそう思えないみたいです。

 

■ 「ないから管理職」とは?

『日本経済新聞』の記事(※1)には、未婚または、配偶者がいるけれども子どもがいないからこそ管理職になれたと感じている、「ないから管理職」女性が登場。「出産機会を逃したのでは? と思うこともある」「結婚せずに仕事に集中できただけ。胸を張って自慢できない」など、複雑な心境を語っています。

記事では、従業員300人以上の企業における管理職の性別と、ライフ・ステージ区分の調査結果(※2)も掲載。その結果は、従来の働き方では、子どもがいる女性にとって昇進は難しかっただろう状況を示しています。

【従業員300人以上の企業における管理職について】

・未婚
男性 8.6%、女性 42.3%

・配偶者あり・子どもなし
男性 9.1%、女性 15.3%

・配偶者・子どもあり
男性 78.6%、女性 30.6%

・離死別
男性 3.6%、女性 11.9%

管理職をめざすかどうかは人それぞれ。ですが男女とも、配偶者や子どもがいることが昇進の妨げにならない働き方が期待されます。それには、オランダの働き方が参考になるかもしれません。

 

■ 男性も柔軟な働き方

『日経ビジネス』(※3)によれば、世界で最も労働時間が短い国は、オランダ。女性のパート比率が61.1%(日本は36.2%)で、男性のパート比率も約3割。理想の働き方は、男女のパートナーが週4日ずつ勤務し、平日の休みをずらして1日ずつ子どもの面倒を見ることなのだとか。

しかし、オランダでパートタイム労働が広まったきっかけは、ワークライフバランスのためではありません。失業率が上昇し続け、雇用を守るために仕事を従業員でわかちあう(その結果、労働時間も賃金も減る)ことを、労使(従業員側)が80年代に決めたためなのです。

パートタイム労働を男女が積極的に取り入れるなら、同一労働・同一賃金が前提。そうでないと、安心して勤務日を減らせないし、評価も曖昧になってしまうでしょう。また、仕事をスムーズに共有するために、社内ルール化やシステム化だけでなく、個人の力量も必要です。

準備すべきことは企業にも従業員にもありますが、パートタイムという選択を、育児だけでなく介護や進学など個人のライフ・ステージに合わせて柔軟に選べるなら、「ないから管理職」と感じる空気もなくなるはず。

なお、オランダでも、女性は管理職に昇格する能力があっても、家庭を優先するケースは少なくないそうです。

 

「ないから管理職」になりそうな、“「婚活か仕事か」「妊活か転職か」どうしたらいい?”“私生活を優先して仕事を失うことが怖い”、などのキャリア相談は珍しくありません。従来の二者択一的な働き方を、女性のキャリアのためだけでなく、労働力の不足が深刻化する今だからこそ変える時期なのです。

[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]

 

【参考】
※1. 『日本経済新聞』「女性は『ないから管理職』」?」2015年2月17日
※2. 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果(2)」2014年3月, pp.10より
※3. 『日経ビジネス』「男女2人で「1.5人分」働く世界唯一のパート社会」2014年8月25日号

※写真:(c) stokkete / 123RF.COM、本文とは関係ありません

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