■ さまざまな反響を呼んでいるサイボウズ社のムービー

多様な働き方や女性の活躍推進がうたわれる昨今、多くの企業で、育児中の女性など労働時間に制約がある人材の活用がテーマになっています。そんな中、昨年12月に、ソフトウェア開発会社のサイボウズが公開したCM「大丈夫」がインターネットを中心に各所で話題になりました。

「働くママたちによりそう」をテーマに綴られた3分弱の動画では、仕事と育児の両立に悩みながら奮闘する女性の姿がリアルに描かれています。働く人たちはこの物語をどう捉えるのか、筆者の研修受講者や知人を中心に取材を進めてきました。

 

■ 「私だけじゃないんだ」「働くママを尊敬する!」――共感の声

私もこんな時期があったな、と懐かしくなりました。子どもがまだ小さいときは本当に大変だったけれど、10年経ったいま振り返るとそんな時は意外とあっという間だったのかも。(40代 自営業・女性)

産育休の前例がない会社で、第一号として悪戦苦闘中です。午後4時に会社を出るときの周りの冷ややかな目が切ないですが、多様なワークスタイルが当たり前になればいいなと思います。(30代 広報職・女性)

今年結婚するのですが、彼女はこれからも総合職で働きつづるので、子どもができたら送り迎えなど自分にできる範囲のことをして両立したいです。(20代 会営業職・男性)

働きながら子育て経験のある人やこれから同じように両立していこうとする人からは「元気がでた」「代弁してもらっているようで嬉しい」など肯定的な反応が多いようです。

 

■ 「頑張ってるのはわかるけど…」「子どもを産むの躊躇しそう」――複雑な声も

「働く女性推進=ワーママ支援」と言わんばかりでうんざり。不妊治療中の自分が育児時短の社員に代わり深夜まで残業しているのですが、こうした現状にはなかなか光が届かず、悔しいです。(30代 企画職・女性)

こんなに大変なら子どもを産むのを躊躇しそう。髪を振り乱して仕事に育児に追われる生活は、正直ちょっと引いてしまう。夫に高収入は期待しないけれど、家事や育児はしっかりやってほしい。(20代 事務職・女性)

働くママは本当に頑張っていると思いますが、どれだけ育児を頑張っていようが、会社としては成果を残していただかないと。奮闘する映像から両立とは何か、改めて考えさせられました。(30代 人事・男性)

違う角度から見てみるとこのように少し辛めな意見も目立ちました。私生活を優先し、仕事や昇進にも前向きさを感じられない、いわゆる「ぶら下がり社員」に頭を悩ます企業人事からは、働くママ社員への待遇や制度と評価のバランスが、今後の課題だという声も聞かれました。

 

企業のCMであるのにも関わらず商品を語らず、あえて問題提起型の動画を制作した背景について、サイボウズ社長の青野氏は『日経新聞』の記事(※1)で「働き方の課題への答えは100の家族があれば、それこそ100通りある」と答えています。筆者としても働くママはもちろん、これを見たさまざまな立場の人が自身の働き方や職場環境を客観視する機会になればと思います。

[執筆:渡辺さちこ, 2015年4月9日]

 

【参考】
サイボウズ株式会社「働くママたちに、よりそうことを。」
※1. 『日経産業新聞』2015年2月12日