晩婚・晩産化が進むにつれて、不妊治療を希望する人が増えています。働きながら治療をと考えている方も多い昨今ですが、両立は思いのほか大変です。NPO法人Fineのアンケート(※1)によると約4割の方が不妊治療を原因に休職や退職をしています。背景にはどのような事情があるのでしょうか。両立に立ちはだかる壁についてまとめてみました。

 

■ 35歳の壁

35歳から高齢初産と呼ばれることもあり、「35歳までには産みたいな」と漠然と思っている人が多いようです。とはいえ、実はこの「35」という数字には決定的な根拠はなく、33歳ごろから妊娠力が下がることが分かっています。いずれにしてもこの世代はキャリアの面でも成熟してくる時期。治療においてもキャリアにとっても年齢という壁はシビアです。

 

■ 読めない通院スケジュール

不妊治療を進める上でとても重要なのが排卵(日)です。クリニックでは卵胞の大きさ、血中値などから排卵日を正確に把握するため、人によっては週に数回の通院が必要になります。

通院が突発的に決まることも多い不妊治療はスケジュールの調整が大変です。休みや遅刻、早退の手続きをとってせっかく行ったのに「今日はまだ排卵していないから明日また来てチェックしましょう」と医師から言われて困惑……。筆者も相当悩んだ経験があります。

 

■ 長い待ち時間

不妊専門クリニックの数が増えているとはいえ、待ち時間のネックはなかなか解消されていません。施設により予約の有無は異なりますが、仮に予約をしていても時間ぴったりに名前が呼ばれることは少なく、人気の施設では2~3時間待ちも珍しくありません。

診察フローは「受付→問診→検査→診察→処置→会計」と流れていきますが、中でも診察は医師のみが行なうため、人員的な理由で時間が押してしまいやすいからです。診察や処置が終わっても会計でさらにもう30分……。イライラが募ります。

 

■ オープンにしにくい環境

周囲から温かく見守られながら産休・育休を取得できる妊婦と違い、不妊治療に取り組む人は、制度の面でも精神的な面でも十分なケアが受けられていないのが実情です。「妊活休暇」なんて夢のまた夢……。

ゴールの見えない不妊治療は、偏見や仕事への影響も考えて内密にしたまま進める人が少なくありません。とはいえ、通院頻度が増えると事実を隠すにもつじつま合わせが難しくなり、罪悪感が大きなストレスになることも。職場にオープンにした場合も、最初は好意的だった上司や同僚がだんだん苛立ちを見せるようになり会社に居づらくなった、という声も聞きます。

 

なにかとハードルの高い不妊治療。検査のベルトコンベアーに乗っかり受け身になりがちですが、働きながらの治療はより主体性をもって挑みたいものです。医師にスケジュール調整を相談してみたり、職場で味方を見つけるなど、少しでも両立しやすい環境を作り、乗り越えていきましょう!

[執筆:渡辺さちこ, 2015年6月2日]

 

【参考】
※NPO 法人Fineによる不妊治療と仕事の両立に関するアンケート調査。不妊治療を経験した1,000人あまりのうち、仕事と治療の両立が難しく退職や休職をした人は40%。