女性向けキャリア支援の仕事をしている関係で、筆者は、就職・転職の相談を受けることがままあります。先日も、結婚を視野に転職活動をする20代半ばの女性と、就職活動中の女子学生から企業選びのコツについて意見を求められました。

働き方の価値観は人それぞれで、正解はありません。こちらの2人は、プライベートが犠牲にならない働き方を希望しているようでしたが、話の中で何度も「ワーク・ライフバランス」という言葉を口にしていたのが、筆者は少し気になりました。

 

■ プライベート優先=ワーク・ライフバランスの実現なの?
2人の話から、「残業時間の有無」がワーク・ライフバランス(以下、WLB)を語る上でのキーワードだと分かりました。プライベートを優先にすることが、WLBが保たれる状態だと捉えているようです。

昨年、エン・ジャパンが実施した調査(※1)でも、残業時間が少ない派遣社員が最もWLBを実現しやすく、残業時間の多さを指摘する正社員が最もWLBを実現しにくいと感じていることから、勤務時間とプライベートの時間を比率的にみてバランスをとることがWLBと捉えているように思います。確かに、長時間労働が前提の働きかたは、国をあげて改善に取り組んでいる目下の課題。とはいえ、本当に残業をしないで早く帰る(プライベート優先する)ことがWLBの実現になるのでしょうか?

 

■ 早く帰ることだけがWLBではない!

「仕事と生活の調和」を意味するWLB。その言葉から、仕事はほどほどに、生活とのバランスを大切にすることと捉えられがちです。

このことに対して、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は、「大切なのはバランスではなく、ワークとライフそれぞれが共鳴し合って生まれる相乗効果」だとし、自身は著書や講演の中で、あえて「ワーク・ライフシナジー」という言葉を使っています。単に勤務時間を少なくするのではなく、あくまでも効率を重視し、さまざまな時間的制約がある人でも成果を残して評価され、やりがいを感じながら働く仕組みをつくることが大事だと話し、そのためにはプライベートの充実が必要だと話しています。ライフでのインプットや充実感がワークにいい影響を与え、好循環することで「バランス」を超えた「シナジー」が生まれるという考え方です。

実際に「残業ゼロ」を実践する小室さんの会社では、創業以来8年間、増収増益を続けています。

 

いかがでしたか?

時間軸という「量」よりもワークとライフそれぞれの「質」を追求してみる。このことで起きる化学反応が、新たなご縁やキャリアを呼び込むきっかけになるものだと筆者も考えています。

[執筆:渡辺さちこ, 2015年7月7日]

 

【参考】
※1. エン・ジャパン、ニュースリリース「[en]派遣のお仕事情報」ユーザーアンケート集計結果, 2014年1月31日
※ 小室淑恵(2011)『ラクに勝ち続ける働き方』幻冬社