2015年7月5日の夜中に大分県杵築市で起きた住宅の放火事件。その住宅で暮らす4人の子どもが命を落とし、逮捕されたのは犠牲になった子どもたちの父親であるという痛ましい事件でした。

 

■ 「幼すぎる」とも思える犯行理由、でも…

逮捕された海上自衛官である父親は、心療内科に通っていたとも報じられ、詳しい経緯については、その後の捜査や裁判によって明らかになるのを待たねばなりませんが、これまでの報道によると、逮捕された父親は犯行の理由について「単身赴任先に戻る際に妻が見送らなかった」ことや「子育てに忙しい妻にかまってほしかった」ことを挙げているようです。

8人の子育てに忙殺される妻の事情に無頓着な、その「幼すぎる」とも感じられる理由に驚愕した人も多いのでは? 実は筆者も驚愕したひとりではありますが、夫婦関係カウンセラーとしての視点からこの事件を見てみますと、そこには筆者がお受けしているご相談でよく浮き彫りになる夫の心情が垣間見えるようにも思えました。

 

■ 「頑張っている俺を尊重してくれ! 」という切なる思い

筆者が夫婦問題のご相談をお受けしていて本当によく感じるのは、程度の差はあれ、世の夫たちは「自分がすごく大変な状況で頑張っていることを分かってほしい」と思っています。それを前提に「頑張っている自分をちゃんと尊重してほしい」と妻にそれなりの待遇を求めている、ということです。

それが満たされないと、往々にして、夫たちはその寂しさのはけ口を外に求めたり、引きこもったり、妻に対して人格非難という攻撃をしかけてきたりといった行動を取るようになります。

実際には、妻の方も同程度もしくはそれ以上に大変な状況で頑張っていることが多いので、夫のこれらの要望を満たしてあげるのは難しいことなのですが、ひとつのいい方法は、夫の話をよく聴いてあげることです。話をよく聴くという行為は相手を尊重しているからこそできること。話をよく聴くことで夫の大変な状況というのも理解することができます。

 

自分がとても大変なときには、相手の状況にまで思いを至らせるのはとても難しいというのが、男女問わずの現実のようです。だからこそ、自分の大変な思いを爆発させる前に、一歩引いて「もしかしたら相手も大変なのかも……」と相手の状況に思いを馳せてみることが必要なのかもしれません。

[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー), 2015年7月25日]

 

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