覚悟を決めて離婚届に署名押印して、それを相手に渡してしまったけど、やっぱり離婚するのをやめたい……。こんなとき、あなたならどうしますか? 相手から署名押印済みの離婚届を取り返しますか? それとも「離婚届に署名押印したのは自分だから…」と諦めますか?

でも、諦めるのはまだ早い! 署名押印済みの離婚届を相手に渡してしまったとしても、まだ打つ手はあるのです。それが戸籍法第27条の2に規定のある不受理申出制度です。

 

■ 離婚届にサインした後に心変わりしたってOK!

この不受理申出制度は、もとは心変わりなどによって、届出のときに離婚の意思を欠いた無効な離婚の届出がなされるのを防止するために導入されたもので、一方からこの申出がされている場合には、その後に離婚届の提出がなされても受理されないというものです。

離婚の意思は、離婚の届出をする時点で存在していなければならないとされているので、たとえ覚悟を決めて署名押印したという場合でも、その後に「やっぱり離婚したくない…」と離婚の意思がなくなってしまったのであれば、それでもOKということですね。

 

■ 勝手に離婚届を出されてしまいそうなら、不受理申出で阻止!

そして、上記のように「届書に署名押印したが、その後届出の意思をなくした」という場合の他に、「届出の意思がなく、届書に署名押印したこともない」という場合も、この不受理制度は予定しています。

つまり、離婚したいがあまりに、一方が勝手に離婚届を出してしまうような場合です。

困ったことに偽造された離婚届であっても形式的要件が整っていれば、離婚届は受理されてしまいますし、いったん離婚届が受理されて戸籍に離婚と記載されてしまった場合には、それを訂正・抹消するには家庭裁判所での調停や裁判が必要になってしまいます。

ですから、相手が不穏な動きを見せるようであれば、この不受理申出を行っておくことは、そういった困った事態に陥ることを防ぐ有効な手立てとなるということですね。

 

ここまでを読まれて、「そうか、勝手に離婚届を出しちゃっても、受理されたらこっちのものなのね」と思われた方が、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。ですが、離婚届の偽造は、発覚すれば処罰されかねない犯罪行為です。どんなに離婚したくても、偽造は絶対にしないようにしてくださいね。

 

[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー), 2015年8月15日]

 

【参考】
※能見善久 加藤新太郎 (平成25年第2版発行)『論点体系 判例民法<第2版> 9 親族』第一法規株式会社(P129~132)