■ 親の浮気現場を目撃、心の傷に

親の浮気現場を見てしまった……。子供にとって、相当ショックな出来事です。父親と若い女性が寄り添って歩いているのを偶然見かけた。そのシーンが記憶に残り、いつまでたっても忘れることができない。あるいは小学生の頃、学校から帰ると知らないおじさんと母親が、居間で楽しそうに話していた。あんなに嬉しそうな顔をしている母親を見るのは初めてでしたが、その後に言われた言葉も耳を疑うものでした。「お父さんには絶対に内緒にしてね」。

どちらも子供心に抱いた違和感は、大人になっても消すことはできないものです。とくに母親の秘密を守るために父親に嘘をつくことを強要された場合などは、罪の意識がぬぐえず、また母親に対する不信感も残ったままになります。

 

■ 母親のデートに付き合わされた子供時代

母娘関係改善カウンセラーの筆者のところでは、母親の浮気に付き合わされ大人になった今もトラウマを引きずっているという相談を受けることがあります。

関東近郊に暮らすC子さん(研究所勤務25歳)は、幼稚園児だったある時期を鮮明に覚えているといいます。休みの日になると母親はC子さんを連れて愛人と会っていました。父親にはC子さんを体操教室に通わせていると嘘をついての外出でした。さらにC子さんは母親から次のように言われていたのです。

「休みの日に遊んでくれるお兄さんはママの親戚だけど、お父さんが彼を嫌っているの。だから会っていることは黙っていてね」。

こうして、母親の情事の片棒を知らぬまに担がされていたC子さんが、不倫の事実を理解したのは小学生になってしばらくたってから。C子さんの場合、父親を騙したことの罪悪感はさほどないと言います。なぜなら、C子さんが自ら嘘をついていたわけではないからです。しかしこのケースで深刻なのは、C子さんが母親を信頼できないばかりか、他人との親密な関係も築きづらいと感じていることなのです。

「心のどこかで、所詮、人なんて信じられないという思いがあるのです」というC子さん。

母親の情事がトラウマになっているのであれば、それに向き合うためのカウンセリングやワークショップに参加してみると良いでしょう。母親を理解するのは難しいかもしれませんが、それでも“自分が他人と信頼関係を結ぶこと”はできる、と自信をもてるようになるはずです。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2015年8月16日]