仕事を早めに終えて朝型にシフトする夏の勤務スタイル「ゆう活」について、ネットや新聞などでさまざまな意見が取りざたされていますが、夫婦問題に特化したカウンセリングを行う筆者の視点からも、考えを述べてみたいと思います。

 

■ 家族の形態は、ひとつひとつ異なる

政府のスローガンは、「長時間労働を抑制し、夕方以降の時間を有効に活用して家族だんらんや趣味の時間を増やして生活を豊かにする」こと。もちろん生活にゆとりが生まれるのは、とても喜ばしいことです。ですが、「朝型勤務」が、すべての家庭にとって有益かどうかは疑問に感じています。

働き方や家族構成、子どもの年齢など、家族の形態によって、時間の使い方や家事分担の仕方はそれぞれ異なります。各家庭で合理的で現実的な方法を見出し、日々生活しているところに、一つの勤務体系を強要され、混乱している人も多いのではないでしょうか。

 

■ 不公平感、負担感が、夫婦喧嘩のタネになる

7月から「ゆう活」を導入している家庭からは、「(早朝出勤により)午前中が長すぎて、疲労感がある」、「疲れが取れず、帰宅後はゴロゴロ」、「生活のリズムが狂った」、「仕事が終わらず、自宅持ち帰り」などの声も聞こえてきて、いいことばかりでもなさそうです。

退社時間が早まることで、同僚と連れだって飲みに行く人もいるのでは? まだ夜は長いから、と飲み屋に立ち寄る男性も多そう。「あれ、まだこんな時間? もう一軒行ってみる?」という会話が聞こえてきそうです。これを知った妻が、平穏でいられるわけがありません。

夫婦の一方に「不公平感」、「負担感」が募ると、夫婦関係が悪化してしまうので要注意です。

 

■ 家時間を有意義に過ごすためのルール

数年前、デンマークの企業見学をしたのですが、午後4時には全員が帰社したのには驚きました。まっすぐ家に帰り、夫婦で夕飯を用意し、家族みんなで食事を楽しむのが、その国のスタイルであり家庭の在り方。ですが、こうした土壌のない日本では、「ゆう活」はなじみにくいのかもしれません。

もちろん、朝型勤務を歓迎する家庭もありますから、生活リズムに関わる「ゆう活」は、「強制」や「一律」ではなく、「選択制」にした方がいいのではないでしょうか。

 

「家族だんらん」を謳う「ゆう活」です。「以前より夫婦喧嘩が増えた」「夫婦仲が険悪になった」と本末転倒とならないよう、導入する際は家事分担などについて、いま一度話し合いを。とくに育児中・介護中の家庭は、あいまいなままにせず、しっかりとルール化しておいた方がよさそうです。

 

[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー), 2015年8月4日]