日本の労働者の長時間労働は一向に改善せず、「過労死(Karoushi)」という言葉が英語の辞書にそのまま載るようになるなど、長時間労働をはじめとする過重労働対策が課題となっています。2015年6月より厚生労働省はこの過重労働対策のひとつとして「安全衛生優良企業公表制度」を開始しています。

 

■ 安全衛生優良企業公表制度とは

安全衛生優良企業公表制度とは、従業員が安全・健康に働くことができる環境を作ることが企業にとって不可欠であることから、「労働者の健康保持増進対策」「メンタルヘルス対策」「過重労働防止対策」などを積極的に実施している企業を厚生労働省が「安全衛生優良企業」として認定するという制度です。過去3年間において労働安全衛生関連の重大な法違反がない、重篤な労災を2件以上発生させていない、従業員に対するメンタルヘルスに関する情報提供や教育研修を行っているか、などが認定基準となります(※)。

 

■ 認定された企業は

認定されると優良企業マークを名刺や会社の製品に使用したり、企業のPRにつなげることができます。また厚生労働省のホームページで企業名が公表されることから、今後は労働者側が転職活動などでの企業選びの指針にすることもできそうです。

 

■ 心身ともに健康で働き続けるために

日本の自殺者数は一時期に比べると下がっては来ているものの、依然として高止まりの状況が続いています。30代・40代の働き盛りの自殺もまだまだ多く、うつ病をはじめとする精神障害での労災申請数も増加しています。

今回の制定の目的の一つである「長時間労働」は、労働による肉体的な負荷はもちろんのこと、睡眠不足による心身疲労をも引き起こすものです。筆者のもとに相談に来られるビジネスパーソンのなかにも、月400時間もの長時間労働をしていた結果、性も根も尽き果ててしまい、まさに体も心も壊してしまったという方がいらっしゃいました。

 

これらのメンタルヘルスの問題は、ひとりひとりのストレスコントロールはもちろんのこと、企業としての必須の取り組みであることを意識したいものです。本制度制定を機に、ますます対策が推し進められていくことを願います。

 

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2015年8月7日]

 

【参考】
厚生労働省「安全衛生優良企業の認定基準・評価項目」
※写真:elwynn / 123RF.COM、本文とは関係ありません