労働者と使用者の間の紛争未然防止および早期解決を目指す個別労働紛争解決制度で、全国の労働局に寄せられた2014年度の相談件数が出揃ってきています。たとえば、佐賀労働局に寄せられた相談件数は過去最多の8,428件、そのうち、いじめ・嫌がらせ(パワハラ)によるものが最多の491件(※1)。石川労働局でもいじめや嫌がらせによるものが相談件数の21.7%、603件に及んでいます(※2)。

筆者のもとにも、「上司から暴言を吐かれ続けて耐え切れなくなって会社を辞めた」「俺に従わなければ会社を辞めてもらうと社長に言われた」「お前はこの会社に要らない、とほかのスタッフもいる前で叱責された」といった相談が寄せられています。

 

パワハラとは

「職務上の地位や人間関係などの優位性を振りかざしたいじめや嫌がらせ」のこと。一般的には「明らかに職務の範疇を超えた行為」であり、「被害者側が精神的苦痛を感じている」ことが判断基準とされています。あいまいな基準であることが、幅広い年代のスタッフが働く職場での問題になるわけです。

 

パワハラの線引

基準があいまいゆえに、線引が難しいパワハラ。例えば、怒られながら仕事を覚えてきたという60代の方からすると、「厳しく指導しているだけ」という意識でも、20代の方からは「教育指導の域を超えている」と感じるかもしれません。また、傍から見たときに「パワハラ」だと感じられるようなことでも「言われてつらいけれど、指導なのだから仕方がない」と、指導だと思い込んでいるケースも見受けられます。パワハラをしている側もされている側も「パワハラである」という認識がないと思われるケースも増えているように感じています。

 

裁判事例から考えるパワハラ判断基準

人間関係からの切り離し(仲間はずれ、無視など)や暴言・脅迫などの精神的な攻撃、暴行などの身体的な攻撃、業務上不要なことへの過大な要求に関しては、近年の裁判にてパワハラと認められる傾向にあります。

パワハラにより精神疾患を引き起こすケースもあり、最悪の場合は自殺につながることも。毎年のように増え続けているパワハラ相談をこれ以上増やさないようにするためには、パワハラがどういうものか理解する研修の場を設けるなど、会社全体での取組が不可欠です。そして個人での努力には限界がありますので、職場で頼れる上司・同僚などの人間関係を作っておくことも、セクハラ予防に必要になるでしょう。

 

[執筆: 浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2015年8月27日]

 

【参考】
※1.佐賀新聞LiVE「労働相談最多8428件 「いじめ・嫌がらせ」トップ」2015年7月16日
※2.『毎日新聞』「石川労働局:職場のいじめ相談最多 昨年度603件、3年連続増/石川」2015年7月4日