子どもがいる夫婦が離婚する場合に、是非とも決めておくべき事項のひとつが養育費。養育費とは子どもの生活費や教育費のことですが、それは親権の有無に関わらず親であれば当然の義務として負担しなくてはならないものです。

ところがこの養育費、親であれば当然の義務というのが建前ながら、厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告からは、その建前とはかなりかけ離れた現実が見て取れます。

 

■ 取り決めるのも、受け取り続けるのも難しいのが現実

この調査結果報告の「17 養育費の状況」を見ると、母子世帯の母で養育費の取り決めをしている割合は37.7%しかなく、また、現在も養育費を受けていると回答した母子世帯の母は19.7%しかいないということが分かります。ここから、養育費の取り決めをすることも、それを将来にわたって受け取り続けることも、なかなかに難しい現実が見て取れます。

こういった結果を見ると、これから離婚をしようとする方も、自分が養育費を受け取り続けることができるのか不安に感じてしまいますよね。

 

■養育費を一括で受け取れば不払いの心配はなくなるけど…

そこで、ひとつ出てくるのが、「将来の分まで離婚時に一括して養育費を支払ってもらう」という案です。

ただ、実際に発生する具体的な養育費の負担は月々のものといえることから、養育費の支払いは月払いが原則とされています。ここから、具体的な負担が発生していない将来の分まで一括して支払いを受けるという場合には、その分が贈与にあたり、贈与税が課税されるのではないかという問題が出てきます。

そこで、筆者はこの問題について、直接に国税局電話相談センターに電話して聞いてみました。そして、得られた回答は、「一括であっても養育費には贈与税はかからない」というものでした。ただし、これは「通常必要と認められるもの」であればという限定つきです。いくら養育費だと言っても、それが不相当に過大な額であればその分については課税されるということでした。

 

養育費を一括で受け取るにあたっては、その総額が「通常必要と認められるもの」の積み重ねの結果であることを説明できるように、その算定根拠などを、協議書や公正証書として残しておくようにしましょう。また、一括で受け取ることが自分達のケースに合っているのかも含めて、不安な場合には自己判断で突き進まずに、専門家などに相談をするようにしてくださいね。

[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー), 2015年9月4日]

 

【参考】
※ 平成23年度全国母子世帯等調査結果報告「17 養育費の状況」
※ 写真:Nataliia Kelsheva / 123RF.COM、本文とは関係ありません