扉に手を挟む、ベビーベットから転落する、異物を飲み込む等々、乳幼児の育児は何回もヒヤリとする場面に遭遇します。そして「そんなことが実際に起こりうるの?」と思うような事故も耳にするのも現実です。寝返りもうてない生後間もない赤ちゃんが、柵をしていないベビーベットから落下してしまった。これは、筆者が産婦人科の看護師さんから教えてもらった事故事例です。「赤ちゃんは思いがけない動きをするもの、常にベビーベットの柵はするように」とアドバイスを受けました。

事故を未然に防ぐ為には自身の経験も大切ですが、事故事例を認知することも大切です。今回は日本小児科学会のInjury alert(傷害速報)(※1)をご紹介します。

 

■日本小児科学会injury alert(傷害速報)

日本小児科学会では、重症度が高い傷害を繰り返さないために、発生状況を詳細に記録したinjury alert(傷害速報)を掲載しています。抱っこ紐からの落下事故、リチウム電池の誤飲、浴槽用浮き輪の溺水等、今となってはその危険性が周知されている事故も掲載されております。中でも筆者が注目した事故をご紹介します。

 

■ 1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤の誤飲

乳幼児が誤って、1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤を飲み込む事故が、2014年で3件報告されています(※2)。たしかにこの洗剤は、子どもが興味を持つカラフルなデザイン。しかも弾力があるので、子供にとっては格好のおもちゃになります。更に形状がゼリーのように見えるため、お菓子と間違えてしまいそう……。そして洗剤パックのフイルムは水で溶けるため、口に入れたり、濡れた手で触るとフイルムが破れてしまい、口の中で破れた場合は誤飲してしまいます。

同様の製品が海外でも販売されていますが、有害事項の報告がなされているとのこと。Injury alertの一文を転記します。

米国中毒センターの報告によると、2013年の一年間で本剤に関する報告が5歳以下の乳幼児において10,354件あり、本年はさらに増加傾向にある。本剤は高濃度であるため,通常の洗剤を誤飲した程度ではみられない頻回の嘔吐、呼吸障害、意識レベルの低下、また角膜損傷の事例などが報告されている。(※3)

 

乳幼児はとかく突発的な行動を取るものです。ママは事故防止に余念がない日々を過ごしていると思います。このInjury alertは、そんなママの力強い味方になります。事故傾向を把握し、重点的に事故予防対策がたてられます。ぜひご活用ください。

[執筆:久保木 惠子(コーチ), 2016年1月10日]

 

【参考】
※1. 日本小児科学会 Injury alert(傷害速報)
※2. 日本小児科学会 Injury alert(傷害速報)「No.050 新しいタイプの洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲(1)」
※3. 日本小児科学会 Injury alert(傷害速報)「2014.8.1 No. 50 新しいタイプの洗剤(1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲」pdf