■ 子供から親への家庭内暴力が急増している

内閣府が発表した「子ども・若者白書」(平成25年度版)(※)によると、ここ数年、家庭内における20歳未満の子どもの暴力件数は急増しているとのことです。平成23年には1470件発生しており小学生から高校生までの割合は8割、残りはその他の学生、有職者、無職者となっています。一方、暴力をふるわれた家族の対象者の6割は母親です。子どもとの接触時間が長く、しつけや勉強などについて注意するのも女親の方が多い傾向があり、それに対して子どもが反抗するようになり、やがてエスカレートして怒りをぶつけるようになるのでしょう。

母娘関係改善カウンセリングを行っている筆者のところにも、母親が娘からの暴力について相談に来られますが、その一方で母親に手を上げてしまい苦しんでいる娘さんのケースもあります。

 

■ 怒りをコントロールできず言葉より先に手が出てしまう

東京近郊に両親、妹と暮らす専門学校生のB子さんが母親に手をあげるようになったのは高校2年生の時。最初は本当に些細な事でした。当時中学生だった妹とB子さんの学校行事が重なり、母親が中学の方に行くと言ったことで、怒りを爆発させたのでした。「いつも妹ばかり優先する母親に、またかという思いがこみ上げ、思わず雑誌を投げつけていました」。

その後も、母親から叱責されると肩をつかんだり暴言も吐くようになりました。結果、母親はB子さんを怖がるように。もともと母親の関心は性格の明るい次女に向けられ、B子さんとは必要以上に口をきこうとはしませんでした。しかし、暴力をふるうようになったB子さんが辛かったのは、母親の自分を見る目が恐怖のなにものでもないと感じたことでした。

 

B子さんの場合、母親の注意を惹くためには暴力でしか訴える手段がないと思い込んでいる可能性があります。ですが、問題なのは怒りの感情をコントロールできないこと。B子さんの父親は娘達に関心をもたず、夫婦の会話もありません。気に入らない事があるとすぐに手が出る性格で、こうした両親のコミュニケーションを見ていたB子さんは、気持ちを言語化するのが苦手なのかもしれません。

B子さんのようなケースでは、まず浮かびあがった気持ちや感情を言葉にして書き留めそれを読む。そこから相手にどのように伝えるかメッセージを書いてみる、こうした作業を続ける事で、暴力が抑えられるようになる可能性があります。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年2月2日]

 

【参考】
内閣府「第3節 非行・問題行動|平成25年版子ども・若者白書(全体版)」
※写真:altanaka / PIXTA、本文とは関係ありません