2016年2月5日、国会に「所得税法等の一部を改正する法律案」が提出されました(※1)。これは、政府が少子化対策、三世代同居を推進するため、家の増築や購入について税制の優遇を検討するというものです。

三世代同居になると祖父母が孫の面倒を見やすくなり、女性の出産や仕事復帰を後押しするようになるかもしれません。祖父母にとっても若い世代と一緒に暮らすことは、常に刺激を受け、認知症予防などにつながる可能性もあります。

しかし、もし母親と娘の関係がうまくいっていなかったら? あるいはしつけが厳しい祖父母を孫が嫌悪していたら? そんな状況での三世代同居は幸せでしょうか。

 

■ 税制優遇を盾に同居を押してくる母親

母娘関係改善カウンセラーの筆者のところに来られた方のケースです。夫と生まれたばかりの子供3人家族のD子さん(会社員・27歳)は、結婚当初から都内の賃貸マンションに暮らしています。今は育休中ですが、来年には職場復帰の予定です。埼玉の実家に暮らす父親は今年秋に定年退職の予定。D子さんの両親は以前から仲が悪く、母親は父親のことで心のバランスを崩す時もあります。今から退職後が思いやられるという母親は、三世代同居で税制が優遇されるかもしれないという話を知り、D子さんにたびたび実家に引っ越すようにと言うようになりました。

D子さんも来年からは保育園に子供を預けて仕事をするため、何かあった時に親と同居なら安心です。しかし、その一方で予想されるのは、両親の喧嘩の仲裁や母親の愚痴の聞き役、時に感情的になる母親の心のケア。それを思うだけで気持ちが落ち込んでしまうというD子さん。

こんな場合には、慌てず三世代同居はじっくり考えた方がよさそうです。D子さんにとって一番優先すべきは育児環境であって、両親の間に入り自分が神経をすり減らすならば問題です。それでなくても育児と仕事の両立があり、その上で両親にまで気を遣うのは心の負担になります。今から保育園情報と職場復帰後の仕事レベル、さらに夫がどの位まで育児家事に協力してもらえるかを話し合い、生活スタイルを予測してみることの方が優先事項かもしれません。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年2月17日]

 

【参考】
※1. 財務省「税制改正の概要」「各年度別の税制改正の内容」より