■ 「親というものになりたくない……」、密かに共感する人も

雑誌『FRaU(フラウ)』2016年3月号に掲載された、女優の山口智子さんのスペシャルインタビュー記事が注目を集めています(※1)。というのはインタビューの中で「私はずっと『親』というものになりたくないと思って育ちました」といった発言があったからです。

山口智子といえば1990年代、トレンディドラマの主演女優として一世を風靡。その後俳優の唐沢寿明と結婚しましたが、おしどり夫婦と言われる一方で子供がいないのが話題になることもありました。今回の記事からは、子供ができなかったというよりはつくらなかったという印象を受けます。

 

■ あんな親の血が流れているから、子供をもつ資格なんてない

山口智子の実家は老舗旅館(廃業)で両親が離婚、養子縁組をした祖母に育てられたそうです。このような家庭環境から「親というものになりたくない」という発言があったのかは安易に結びつけることはできませんが、影響があったのは否めないでしょう。

母娘関係改善カウンセラーの筆者のところでは、同じようなご相談を娘さんの立場から受けることがあります。

千葉県在住のB子さん(会社員・37歳)の例です。B子さんは5年前に結婚しましたが、結婚するにあたって婚約者だった夫と子供をもつことについて何度も話し合ったと言います。「両親は私が幼い頃から夫婦喧嘩を繰り返し、母は家出、父には愛人がいました。両親とも娘の私には一切関心を示さなかったのです」

B子さんは、出産した知人が子供をあやす様子を見ても何も感じない自分に愕然としたと言います。「両親のDNAを受け継いでいるかと思うと、自分には親になる資格がない」と言うのです。

B子さんの夫はそんな妻に理解を示し、子供を持たない決断をしてくれました。しかし、今は離婚して一人暮らしになっている実母や義理の両親にとっては、B子さん夫妻の考え方は受け入れられず、B子さんはしばしば責められるそうです。「夫や義父母には申し訳ない気持ちもあります。けれど実の母親から『どうしても産まないの?』と詰問されると、『あんた達のせいだから』と言ってやりたい」

子供のことは夫婦の考えが一番尊重されるべきです。もちろん二人で納得したのであれば、子供がいなくても幸せは築けます。ですが、もし夫婦仲の悪い両親のせいで、自分が親になる資格がないと思い込んでいるのなら、それは少し違うかもしれません。温かい家庭は、B子さん自身が夫とともにつくっていけるはずです。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年2月28日]

 

【参考】
※1. 『FRaU(フラウ)』2016年3月号, 講談社