■兄弟が近くにいるのに娘を呼び戻そうとする親

実家が遠方にあり、盆や暮れなどの時だけ帰省し、普段は一人暮らしで働いていている女性にとって、留守電に残される親からのメッセージは何かと気になるところです。しかしそれが連日となると、受け入れがたい思いにかられる時もあるでしょう。

母娘関係改善カウンセラーの筆者のもとには、年度末などのこの時期は、住居や仕事など環境が変わることで精神的な悩みを抱えて来られる方と並行して、実家からの「戻ってこい」コールに苦しんでいるという相談者が増える傾向があります。

地方に暮らす実家の両親が年老いていくことに不安を感じるのは当然ですが、実家の近くには兄・または弟家族が住んでいる。だから、何かあった時にはそちらに頼ればよいのに、男は仕事が大変、嫁には頼れない、そこで娘が実家に戻ってくればいいと考える親は結構多いのです。

 

■ 娘の仕事を軽視、早く辞めろとせっつく

東京で一人暮らしを始めて20年目の、K子さんの例です。

K子さんは、大手飲食店の店舗統括マネージャーとして多忙な日々を過ごしています。九州の実家には老いた両親が暮らし、近所には兄二人それぞれの家族が暮らしています。最近、父親の持病が悪化し寝込むことが増えたようですが、入院するほどではありません。今年のお正月に帰省した時、母親は父親の病気を持ち出し実家に戻るよう強く言ってきました。母親は、K子さんの仕事を飲食店のアルバイト位にしか認識しておらず、マネージャーとして責任ある立場にいると説明しても理解できないようです。また、近くには兄達家族がいるにも関わらず、忙しい息子達には遠慮していざという時の助けが求められないと言います。

「母は、私が子供の頃から兄二人にはとても気を遣い、好きなことをさせている。一方、私のことはお手伝いさんのようにあしらう。娘は実家に戻るのが一番と考え、毎日電話してくるのがしんどい」と話すK子さん。

このような場合、可能ならば二人の兄に相談し、東京で仕事を続ける意思をはっきり伝えるようにしましょう。K子さんが結婚するか独身生活を続けるかはわかりませんが、経済的自立は確保すべきです。将来の生活設計を考え、一度両親と話す必要があるかもしれませんが、連日の電話で実家に戻らない選択に罪悪感をもつことは極力避けるようにしましょう。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年3月26日]