筆者は、うつ病や適応障害などの精神疾患で休職後、職場復帰を果たした方からのご相談を受けることがあります。復職直後というのは、人それぞれではありますが心身の状態が安定するのに少々時間がかかってしまう方もいらっしゃいます。

そんな時、以前は職場でできていたことができなくなったことへの挫折感や自己否定に悩んでしまう方が多いという印象を持っています。特に、休職前にバリバリと働いていた方ほど、復職はしたものの、以前の自分が輝かしく感じられ、現状を否定し、ますますご自分を追い込んでしまうことがあります。

 

■ 自分で自分を追い込んでしまう負のスパイラル

筆者が話をうかがうと、そのような方はすでに十分に頑張っていらっしゃいます。復職してから一度も休まず、以前より体調管理も意識され、今できることは十分にできていらっしゃるのです。

ですが、以前の自分と比べてしまう今の自分がいて、自分で自分を追い込んで辛くしているのですね。負の考え方のスパイラルに陥ってしまうとなかなか上手に気持ちの切り替えもできないものです。

 

■ 厳しい自分に反論するもう一人の自分を持とう

そのような方にお伝えするのは、できていないことではなく、できていることに目を向けること。そのようにお伝えすると、多くの方が「できていることなんて、何もない」とおっしゃいます。筆者はすかさず、「そうでしょうか。でも〇〇はできていますよね」と返します。「え、そんなことでもできていることになるのでしょうか」と驚かれます。自分に厳しい方は、なかなか“できていること”が見えないものです。

「少なくとも休職中はできていなかったけど、復職後はできていますよね」と続けると、「まあ、そうですね」という答えが。そんな調子で、できていることを言葉に出して言ってもらいます。そして、それを自分ひとりで実行できるようにやり方をお伝えします。

例えば、「やっぱりダメだなあ、できない」という心の声が聞こえてきた時は、そんな自分にダメ出ししてくださいと伝えます。「いやいや、でもね。〇〇はできるようになったよ」というように、厳しい自分に反論してもらうのです。厳しい自分とほめ上手な自分。二つの考え方やモノの見方を持っている人はストレスにも強いのです。

[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー), 2016年5月25日]

 

※写真:PIXTA、本文とは関係ありません