最近、筆者は自分のストレスコーピングのためと称して、老子の教えなどを読んでいます。その言葉に時にハッと考えさせられ、時に癒され、時にうーんと唸ったりと、その時その時の自分の感じ方を大切にしています。

最近読んだ『心が鎮まる老子の教え』の一節です(※1)。

老子は柔弱なるものを一貫して重んじ、柔よく剛を制し、弱きものは強きものに勝つと説いています」

本では、樹々や家を吹き飛ばしてしまう風や、橋を破壊してしまう水などを例に出して解説しています。

 

■ 一人くらい出会うかも? 飄々とした人の価値

この箇所を読んだ時、ふと思い出したことがあります。それは、仕事をしていて一度くらいは出会ったことがあるかもしれません、自分の考えを引いて、いつも相手に合わせて仕事をするといいうスタイルの人のことです。

本当に自分の考えがなく、相手に媚びを売って合わせているのか判断が難しいこともありますが、相手からどう思われているか、が見分けるポイントかもしれません。「あの人は御しやすい」と思われているのであれば、あまり好印象ではありませんね。ですが、「あの人と一緒に仕事をすると、いつも気分よく進められる。いつもこちらを配慮してくれて、いつかは恩返しをしようと思っている」などと言われているのであれば、一見、こちらの思う通りになる御しやすい人のように見えながら、飄々として敵を作らず、案外相手の気持ちをガッチリつかんでいる人と言えるのかもしれません。

 

■ 柔軟な人に感じる「真の強さ」

ビジネスでは、様々な意味でタフなことが求められることが多いですが、柔軟にかわせる人、相手に譲れる容量の大きい人が持つ「真の強さ」を感じることもあります。本人がまた、「柔で剛を制す」などとは微塵も感じず、決して戦略的に動いているわけではなかったりすると、ますます大物感を感じます。
Win-Winなビジネスが展開できるのは最も望ましいことではありますが、その実現が難しいように感じる時、ふと力を抜いて「どうぞ」と譲れる柔軟な人を目指してみる。ハードルは高いかもしれませんが、目指すだけの価値は十分にあるのではないでしょうか。

[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー), 2016年5月27日]

 

【参考】
※1. 王福振(編)、漆嶋稔(訳)「心が鎮まる 老子の教え」(2013)日本能率協会マネジメントセンター、pp196-199