突然ですが、フレネミーという言葉をご存じでしょうか? Friend(友達)+Enemy(敵)を合わせた造語で、友達の顔をした敵のことです。信頼していた人の裏切りほど、心理的ダメージは大きいものはありません。筆者のもとには、産後ママのみならず働く女性からの相談も多く、最近ではフレネミーの害をよく耳にします。そしてその手口は一定のパターンがあるのです。

精神科医の片田珠美氏の著書『他人を攻撃せずにはいられない人』にフレネミーの典型的な例が記載されています。今回は実際の事例からフレネミーの手口を知り、身を守る術を考えます。

 

■ 実録! フレネミーの手口とは

30代の女性会社員は同期の中でも出世頭で若手のホープ。やりがいを持って仕事をこなす日々だったが、部下の中には自分よりも年上の女性もいてやりにくさを感じる時もあった。そんな彼女が仕事の愚痴や相談をしていたのは、同じ大学出身の後輩女性社員だった。彼女の話をなんでも黙って聞いてくれて、「先輩は私の憧れです」という耳障りのいい言葉も言ってくれる後輩にすっかり心を許しました。

しかし、ある時から直属の上司が些細なことで彼女を厳しく叱責し始めます。彼女は後輩女性社員に、上司の仕打ちに対しての怒りや不満をぶちまけたこともありました。上司からの仕打ちはますます激しくなり、「部下を指導する力がない」と言われ、ついに彼女は平社員に降格をされてしまいます。

精神的に追い込まれた彼女は出勤しようとすると吐き気に襲われるようになり、休職することに。そして彼女の休職中に、後輩社員は彼女のポジションに昇格をしていたのです。後輩は「憧れの先輩」にとって代わるため、自分が聞いた愚痴や上司に対する不満をふくらませて上司の耳にいれていたのです(※1)。

 

■ フレネミー被害者が共通して口にする言葉とは……

これはフレネミーの典型的な事例。このように、気が付いた時は後の祭りなのです。フレネミーはあなたには決して敵意をむきだしにはせず、それどころかあなたの最大の味方を演じます。そして、巧みな情報操作で間接的にあなたを攻撃するのです。さらにフレネミーは、一見人当りがよく周囲の評判がいいのも特徴です。

いい人を演じるのに長けたフレネミー。なかなかその本性を見破ることは難しいかもしれません。しかし、相談者の方々が共通して口にするのは、「相手と一緒にいるとなんとなく心がざわついた」「なんだかこの人、変……」とのこと。

このように、自身の心は「違和感」というシグナルを送ってくれているのです。この違和感をスルーせずに大切にすることで、相手に自分の情報開示はしない、弱みをさらけ出さない、等の対処方法が取れるもの。まずは自分の感じた違和感に耳を傾けることから始めてみるのもいいかもしれません。

[執筆:久保木 惠子(コーチ), 2016年6月2日]

 

【参考】
※1. 片田珠美(2013)『他人を攻撃せずにはいられない人』PHP新書
※写真:Ushico / PIXTA、本文とは関係ありません