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マタニティマーク騒動は、閉塞感の象徴!? どう身を守る?
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マタニティマーク騒動は、閉塞感の象徴!? どう身を守る?

マタニティマークを付けると攻撃の対象になると危険だからつけない、最近、メディアでよく見かける話題ですよね。妊婦向け雑誌の『たまごクラブ』では付録のマタニティマークのデザインを、2011年には横幅10センチでしたが、「さりげなく目立たないものを」という妊婦の要望を踏まえ2回にわたって縮小し、現在は5.5センチにまで小さくなったとか(※1)。こんな空気が漂うなかで、妊娠している女性やこれから子供を産みたい女性が明るく希望を持っていくのは難しいかもしれません。

 

■ 日本の少子化の原因は嫉妬?

脳科学者であり医学博士である中野信子先生は、この現状に次のように警告を鳴らしています。

「女性がマタニティマークをつけていると攻撃の対象となるから危険だと言われ、つけないことをすすめる助産師さんさえいると言います。こんな種は生物として狂っています。次世代を阻む行動が妨害されれば、その集団はいずれ滅びる。私が書くまでもないことです」(※2)

さらに、「新幹線や飛行機に泣く子を乗せるな」や「ベビーカーで電車に乗るな」等の論争については、不満の鬱積と言及し、日本の少子化を懸念しています。

「母親の持つ幸せそうなイメージからなのか、「自己責任」で「望みどおり」の人生を送っているやつらにどうしてオレたち・私たちが譲ってやらなくてはならないのか、という不満が鬱積していて、それが舌打ちに代表される行動を裏打ちしているのです」(同じく※2より)

中野先生は、こんなことが続いたら日本の少子化にますます拍車がかかり、負のスパイラルに歯止めがかからないとも述べています。

 

■ 不満が鬱積した時代

中野先生のおっしゃる通り、現代は不満が鬱積している時代だと感じます。同年代のみならず世代間でも顕著です。筆者は公私ともに、プレママや子育て中のママに会うことが多いのですが、プレママやママが世代間の不満のはけ口になっていることは否めません。

路上を歩いていたら「ベビーカーが邪魔だ」と前から歩いてきた高齢の男性に怒鳴られ、杖でベビーカーを殴られた。マタニティマークをつけて優先席に座っていた時に、「妊娠は病気ではないのだから立ちなさい」と年配の女性に言われた。妊婦やママが萎縮する様な話をよく耳にします。

「私ももっと大切にされたい(されたかった)のに、大切にされていない(されなかった)」という不満が年配の世代に鬱積している様に感じます。

努力や我慢が美徳とされた時代から、より自己の生き方や感情を尊重する時代に移行してきています。努力や我慢を重ねた世代にとっては、現代の風潮が羨ましいものなのかもしれません。だからこそ、「子供がうるさい」「ベビーカーが邪魔だ」「妊娠は病気ではない」など、もっともらしい言葉でその不満を吐き出しているようにも見えます。

 

■ 他人の顔色よりも自分の顔色を伺いましょう!

最近のマタニティマーク騒動は、日本の鬱積した現状をよく示してると筆者は思います。現代は不満が蔓延し、息苦しい世の中と言われます。「こうしなくてはいけない」「我慢しなくてはいけない」そんな自分の心をふと緩めてあげると、見える景色もとてもゆったりと見えるものです。一人一人が心を緩めると、開放感のある風通しのいい社会になるはずです。

そしてどんな時代でも、プレママやママは、他人の顔色よりも自分の体調と顔色を優先してほしいです。自分を犠牲にして他人に尽し、そして次世代に同じことを強要する。そんな負のスパイラルはもう終わりにしませんか。

[執筆:久保木 惠子(コーチ)]

 

【参考】
※1. 『朝日新聞デジタル』「マタニティーマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も」2015年10月17日
※2. 中野信子(2014)『努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本』フォレスト出版

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