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心にある、母を殴りたい衝動を抑えるには…母娘問題
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心にある、母を殴りたい衝動を抑えるには…母娘問題

■ 他人事ではない、母に手を挙げたい気持ちはよくわかる

2016年10月中旬、介護士をしている24歳の娘が母親の頭をかかとでふみつけ、3日後に母親が死亡する事件が起きました(※1)。母親には飲酒癖があり、夫が家を出ていたため娘と二人暮らしでした。娘は日頃の不満が爆発したのでしょうか、それにしてもあまりにつらい事件です。

「正直、母親には早く死んでほしい」「このままだと母を殴りそう」。このような深刻な悩みを抱えて、母娘関係改善カウンセラーの筆者のところに相談に来られるクライアントさんは決して珍しくはありません。

 

■ わめきちらす母親が目の前からいなくなればいい

ご相談の多くは、母親がヒステリックにわめく、すぐに泣きだすなど、感情的になって、まともに会話ができない時などに、娘の側では怒りで手が出そうになるという内容です。

東京近郊に両親と暮らすC子さん(23歳・公務員)もその一人。忙しい仕事を終え帰宅すると母親の愚痴が始まるので、C子さんはイライラしてきます。休日、外出しようとすると母親が玄関まで追いかけて来て「私を一人ぼっちにさせるのか、親不孝娘!」と叫ぶ始末。思わずスリッパで母親の顔をひっぱたきたくなる衝動にかられましたが、なんとか自分を抑えたと言います。

その後も同じような状況になるたび、目の前から母親が消えてくれればいいと強く思うようになりカウンセリングに来られました。

「あんな親でも育ててくれたのは事実。手を挙げそうになる私は悪い人間だ」と自分を責めるC子さん。しかし、このような状況が続いたら、そう思うのは当然かもしれません。一番つらいのはC子さん本人です。だからといって、その苦しさを怒りで解決はできないでしょう。

 

■ 母に手を挙げそうになる衝動を抑えるには

母親がヒステリックにわめくのは、そうすることで注目してもらいたいのです。改善していくためには、もしその予兆が現れたらすぐに部屋を退出してください。「あなたのヒステリーには絶対に付き合わない」という姿勢を強く打ち出すのです。また、自分自身が疲れているときも母親と一緒になるのを避けるようにして下さい。

それでも手を挙げそうになったら、自分が親に暴力をふってしまいそうだと理由をつけて、母娘一緒にカウンセリングを受けることも効果があります。本当は母親こそカウンセリングが必要なのですが、一人では絶対に行くことを拒む傾向があり、そのきっかけを作る機会にはなるでしょう。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]

 

【参考】
※1.『産経ニュース』「母親の頭を踏みつけた女逮捕 数日後に死亡、因果関係を捜査 警視庁」2016年10月19日

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