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マタハラ防止対策義務化! その背景とポイントは?
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マタハラ防止対策義務化! その背景とポイントは?

2017年1月に施行される改正男女雇用機会均等法および改正育児・介護休業法により、妊娠や出産を理由とした嫌がらせである「マタニティー・ハラスメント(以下マタハラ)」の防止対策が企業に義務付けられることになりました。
筆者のもとにも、マタハラを受けたという相談が寄せられており、女性の働き方を考えるうえで欠かせない問題と言えるでしょう。

■ マタハラに関する相談の増加

今回の法改正の背景には、マタハラに関する相談の増加があります。

厚生労働省の調査(※1)によると、2015年度に労働者からマタハラに関する相談が過去最多の4,269件寄せられています。
また、2015年9~10月にかけて実施された「妊娠等を理由にする不利益取扱いに関する調査の概要(※2)」によると、派遣労働者の48.7%、正社員の21.8%が解雇、減給などの不利益取扱いを受けたと回答しています。

■ 新規定で変わること

これまでも、企業が妊娠や出産を理由とした解雇などの不利益な取り扱いをすることは違法とされていましたが、新規定ではさらに踏み込んだ記載になっています。

例えば、上司が部下に対して「こんな忙しい時期に育児休暇をとるなんで、周りの迷惑を考えているのか」などとネチネチ言ってくる…といった事例がありますが、このような上司の発言も新規定ではマタハラとみなされる可能性があります。

つまり、上司や同僚の発言自体が「マタハラ」になる場合があることを指摘し、企業に対し防止対策をとるように義務化したわけです。

■ マタハラ対策の難しさ

マタハラは一般的に男性から女性へ行われるものという印象が強いと思われますが、先述の不利益取扱いに関する調査によると、職場の女性上司(11.1%)、女性同僚や部下(9.5%)など、同性同士でも生じていることが分かります。

「自分の時代はこれが当たり前だった」などと自身の価値観を押し付けたり、そもそも人手不足であり自身が長時間労働などで仕事をカバーしなければならないようなケースでは、この課題はなかなか理解を得られないことも少なくありません。

厚生労働省の資料によると、企業に求められるマタハラ防止対策の例として「就業規則等への方針の明記」「相談窓口の設置」「苦情対応体制整備」などがあげられています。ただ、いくら規則や体勢が整ったとしても、実際の現場でうまく運用できるかどうかはまた別の問題です。

女性活躍推進の一環としてこの法改正を機に、企業で長く気持ちよく働き続けられる風土づくりが進むことを願います。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]

 

【参考】
※1. 平成27年度都道府県労働局雇用均等叱での法施行状況(厚生労働省)
※2. 妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する調査の概要(厚生労働省)
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません

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