メンタルを扱う現場にいると、妊娠出産そして育児を通して、親とのいびつな関係を認識し、妊娠や育児がとても辛く感じる女性を多く見受けます。産婦人科を舞台に、産婦人科医の視点から妊婦とその家族の物語を描いた漫画、『コウノドリ』に登場するミサさんもそのうちの一人です。

 

■成績優秀、友達も多いしっかり者もミサさんの場合

妊娠を機に10年間勤務した会社を退職し、夫の転勤に付帯したミサさん。友人もいない土地で、平日は一人の時間を過ごすことが多い。仕事を辞めて誰からも必要とされていないことに虚しさを感じることも。引越の荷解きも家事も進まない毎日で、私がしっかりしなきゃ、やらなくちゃと思えば思うほど体は動かない。実母からは「妊娠は病気じゃないのよ。仕事をしていないのだから、家のことはあなたがやって当たり前」と叱責される。

ふと、ミサさんは、幼少の時から母親に褒められたことがないことに気が付きます。クラスで2人だけが100点だったテスト、ミサさんが100点を取っても母親に褒められない。「そのくらいのことで自慢するのは恥ずかしい」と逆に突き放されてしまう。幼少期の出来事がフラッシュバックし、ミサさんは苦しむのです。徐々に実母からの電話を避けるようになり……。追いつめられたミサさんは、自殺と思われる転落事故を起してしまいますが、母子共に無事に助かります(※1)。そんな女性が描かれています。

 

■妊娠中や育児時は、幼少期の辛い思い出が蘇る時

ミサさんのように、妊娠中に幼少期のトラウマに苛まれるのは、決して珍しいケースではありません。妊娠出産、育児を機に幼少期のトラウマが甦り、親子関係の歪みに苦しむ女性も多いのです。実母は妊娠中の娘を心配し、よかれと思って世話やアドバイスをする、しかしながら娘はそれを疎ましく思う。実母からの電話が来るだけでストレスを感じてしまう……。そんな、追いかける実母、逃げたい娘の図式に、共感する読者の方も多いと思います。

いかがですか? 幸せなはずの妊娠中なのに、トラウマに苛まれ実母との関係が辛い。繰り返しになりますが、それはレアケースではないのです。まずは自分だけではないと安心をしてほしいと思います。そして、自分の心地よさや安心感を最優先させるといいでしょう。実母と距離を置くのもいいでしょう。他人の顔色よりも自分の顔色を大切にしてください。さらにトラウマを安心に変えたいのなら、筆者のようなカウンセラーを有効活用するといいでしょう。カウンセラーは感情を扱うプロです。あなたの気持ちもきっと楽になっていきますよ。

[執筆:久保木 惠子(産後ママのサポートコーチ), 2017年11月22日]

 

【参考】
※1. 鈴ノ木ユウ(2017)『コウノドリ(20巻)』「妊婦の自殺」講談社

※執筆者:久保木恵子(産後ママのためのサポートコーチ)について。女性専用のカウンセリング『ボイスマルシェ』の登録カウンセラー。電話カウンセリングなので全国どこからでも利用できる、匿名で話せる、当日予約できるというボイスマルシェの特長を活かし、全国の女性たちの相談にのっている。一児の母。(久保木恵子の詳細

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