遺伝子でなんでもわかってしまう時代の到来です。

流産のリスクもなく、たった20ccのプレママ血液で胎児の遺伝子異常がわかる新型出生前検査。国内では、15か所の検査実施医療機関で今春からスタートしました。費用は米国業界大手のシーケノム社の場合で約20万円。現時点では「臨床研究」段階にあり、受診に紹介状を求められる等、誰でも受けられるというものではないようです。

 

■ 受診者は1,000人超え

受診のハードルは非常に高いにもかかわらず、検査を開始した4月から6月上旬までに受診者は1,000人を超え、現場の予想をはるかに上回る結果となりました。

倫理上、現在の検査対象は「心臓病の奇形」や「ダウン症」がわかる3つのトリソミー(染色体)のみ。しかし、実際は多様な遺伝子情報が既にわかるといいます(臨床段階のものも含む)。性染色体異常、家族性アルツハイマー、血友病、筋ジストロフィ等の約3,000種類あるという遺伝病、その異常が父母どちらから由来したものか、性別はもちろん、知能の高低まで。

 

■ 出産前どころか、妊娠前でも遺伝子異常は検査可能!?

更に驚くのは、これらの胎児の遺伝子異常が、出生前どころか妊娠前にわかってしまう検査があるというのです。ナテラ社の「ナテラ・ワン」は費用が15万円とシーケノム社より安いうえに精度も100%に近いといいます(名古屋市立大名誉教授・鈴森薫氏より)。

妊娠前にリスクがわかり、命を授かってから産むか産まないかを決断するという重責を負わなくてもよいかもしれません。しかし、このことは更なる少子化や、もっと進んで遺伝子による結婚差別をつくるきっかけになってしまうのでは、という大きな危惧があります。

 

個人の価値感だけに委ねた検査普及には、差別社会を加速させることにもなりかねません。遺伝子カウンセラーの充実や彼らの教育に力を入れ、国が先導したよりよい社会を目指すことが重要だと思います。

[執筆:マキコ・アサエダ (産後ライフプランナー) ]

 

【参考】
※ NIPTコンソーシアム「検査実施医療施設」
※ 『日経新聞』2013年7月4日「新・出生前診断の希望増加 3カ月で1000人超受診」